現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 国際
  4. ヨーロッパ
  5. 記事

取り締まり、追い払い…ロマ人「狙い撃ち」政策強まる(1/2ページ)

2008年8月8日19時32分

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

 「ジプシー」「ボヘミアン」などと呼ばれて差別の対象となってきたロマ人らを追い出す動きが、フランスやイタリアで強まっている。両国政権は、増える移民に不安感や不快感を抱く世論を意識し、厳しい移民対策でアピールを狙う。ロマ人が格好の「標的」になっている。

 パリ北郊サントゥアンにある仏最大級のロマ人居住地に暮らす約600人が6月末、8月末までの退去通告を受けた。低所得者用住宅の建設が理由だが、新住宅に入居できるのは20世帯。500人以上が住まいを失う。北部リールの居住地では7月末、70人が退去させられ、中部サンテティエンヌでは同月半ばに55人がルーマニアに送還された。

 帰還を希望する不法滞在者には大人1人あたり300ユーロ(約5万円)が支給されるが、残留希望者に対しては、出入国管理当局と警察による職歴、通院歴などの個人情報の調査がある。南仏アレスでは、ロマ人から唾液(だえき)を採取しているという。

 サルコジ政権は、ロマ人を含め年間2万6千人の不法滞在者の送還を目標に掲げる。「仏社会に同化する意思のある者だけ残ればいい。そうでない者は出ていくべきだ」。サントゥアンの治安当局者はルモンド紙にそう語った。

 ロマ人らの多くはルーマニアやブルガリアなど旧東欧出身で、90年代にフランスに住み着いたといわれる。移民や不法入国者に対して厳しさを増す世論に応えて取り締まりの実績を強調したいサルコジ政権の意向が背景にあるとみられている。ロマ人らの「追い出し」によって、福祉や教育費用を削減する狙いもありそうだ。カトリック系のラクロワ紙は社説で「政府も、市民も、ロマ人らをスケープゴートにしようとしている」と批判する。

 ロマ人を「狙い撃ち」にした移民対策を実行し始めたのがイタリアだ。

前ページ

  1. 1
  2. 2

次ページ

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内
  • 中国特集
  • 北京五輪への道