北海道・洞爺湖サミット（主要国首脳会議）の会場は、すべてLED照明に交換し、日本の意思、日本の技術力を示すべきとも訴えてきたが、その実現への取り組みがなされることになったのは高く評価したい。サミットでは、ぜひ、全世界の照明のLED交換による二酸化炭素削減の構想を打ち出してほしい……。アフリカなどの低開発諸国では電気エネルギーはきわめて贅沢品で、夜、電灯の明かりのない村が多い。昨年8月にニューデリーで会ったIPCCのパチャウリ議長も、

　「インドでは、まだ50％の人々が電気のない生活をしているのですよ」

　と語っていた。消費電力がきわめて小さく、寿命が長い、LEDのような照明は、そういう地域の人々にとってこそ、大きな力となる。消費電力が小さければ、小型の太陽光発電でも十分に点灯できる。日本など先進国は、こういう二酸化炭素の排出がきわめて小さく長寿命の照明を、最貧国にODA（政府開発援助）で供与することも考えるべきだ。闇の夜を明るく照らす超省エネ照明の供与は、感動をもって迎えられるだろう。

IDECは、新築したSALES OFFICEで世界初の全館LED化を実現

　オフィスや住宅の照明をすべてLEDにする日は来ないのだろうかと、じりじりとした思いでいた今年の3月6日、大阪に世界初の「全館LED照明」のオフィスビルが誕生したことを知った。IDEC（本社・大阪市淀川区）が完成させた新建屋、「IDEC SALES OFFICE」だ。IDECは、産業用の電気スイッチなど制御機器で、画期的な安全技術を込めた製品を開発、製造してきた企業だ。数年前に『メタルカラーの時代』で、舩木俊之社長と藤田俊弘常務と対談を行っている。

　LEDを用いた産業用の照明器具で独創的な製品を開発していることは知っていたが、世界初の全館LED照明のオフィスビルとは驚いた。

　じっとしていられず、新大阪駅に近い、IDEC SALES OFFICEを訪ねたのは、5月15日のことだった。

　凄い！

　6月に入りコンビニエンスストアのローソンが全店LED化を発表し話題を集めたが、IDECはとっくに「実現」していたのだ。「全館LED照明」は、もはや遠い将来のことではない。このオフィスビルは、洞爺湖サミットで世界に日本の意思を存分にアピールできるケースにすべきと思う。