公共事業の需要予測が甘く、事後検証も十分されていないとして、総務省は近く国土交通省、農林水産省など6省に改善を勧告する。道路や港湾の建設といった大規模事業75件を行政評価したところ、6割にあたる45件で第三者の意見を聞かずに需要予測していた。供用が始まった33件のうち、利用実績が予測の50%以下にとどまる事業が2割にあたる7件あった。
総務省は「無駄ゼロ」への取り組みを促すため、ダム・国道・港湾(国交省)、農地・農道(農水省)、情報通信設備(総務省)などの需要予測と実績を調査。その結果、地下鉄2件、空港1件、工業用水道4件で利用実績が需要予測の50%を下回った。50〜80%の事業も5件あった。
例えば、北海道の釧路白糠工業用水道では、工業団地の土地を取得していない10社の進出を想定し、1日あたりの給水量9600立方メートルの需要を予測したが、実際は2560立方メートル(27%)の利用にとどまった。宮城県の仙塩工業用水道でも、需要予測の2万3300立方メートルに対して利用実績は7490立方メートル(32%)だった。
また、95年に作られた農地・農道の計画で、10アールあたりのコメの収量を予測する際、当時の最新データとなる89〜93年の収量442キログラムではなく、その2年前の464キログラムを使い、22キログラム多く見積もっていた。
このほか名古屋市営地下鉄名城線、福岡市地下鉄七隈線、新北九州空港も利用者数が予測の半数を下回った。
総務省は、人口減少や超高齢社会化などを踏まえて事業を計画し、需要予測の事後検証を徹底して事業の見直しに反映させるよう勧告する。