軍事評論家=佐藤守のブログ日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

■軍事を語らずして、日本を語るなかれ!!■

2006-11-05 お人よし日本人よ、目を覚ませ!

お人よし日本人よ、目を覚ませ!

「ロシア、日本漁船4隻連行」…違法操業の有無調査

「中国人従業員が暴行」…上海立ち退き対象日系企業・退職金増求め邦人に

 今朝の産経新聞の中から、上記の記事を見て、日本人は「何とお人よしなのか!」と諦めにも似た気分にさせられた。

 ロシアの漁船連行事案は、8月中旬に根室のかに漁船「第31吉進丸」を、ロシアの国境警備隊員が銃撃して一人を銃殺、吉進丸を拿捕した事件がらみであることは明白である。日本漁船が違法操業をしていたことを宣伝して、自己正当化する算段であろう。

 7年前、私は生まれ故郷の樺太(サハリン)を訪問した。北緯50度の国境線を視察した後、豊原(ユジノサハリンスク)のホテルで宿泊したのだが、そのホテルは「サハリン・札幌ホテル」といったから、多分札幌の企業との提携だと思ったのだが、既に「ロシア側」に召し上げられたのものであった。

 帰路の機内で、某経済人が語ったところによると、彼も「札幌ホテル」よりも高級なホテルを建てたのだが、営業が軌道に乗ると、見事にのっとられた、と語った。

 彼らのやり方は実に巧妙である。ホテル建設から、従業員の「教育」まで、徹底的に日本側に指導させ、開業して軌道に乗ると従業員たちが「サボタージュ」をする。日本人経営者は、それは「違反行為」だから、当然解雇しようとする。すると彼らは徒党を組んで「ストライキ?」にはいる。そこでまじめな日本人は「裁判」に訴える。しかし裁判所も「グル」だからやがて敗訴し、日本人は立ち退かされ、彼らだけで営業を開始するという、彼らの“得意技”が発揮されるのである。

「お宅達が泊まったホテルもそうです」といったが、5回目の裁判で敗訴した彼は、モスクワに出かけた経済人グループのトップに、プーチン宛の直訴状を手渡したところ、急に第6回目の裁判が開かれて「勝訴」したので、これ以上被害が広がらないうちに撤退作戦を遂行中で、それでサハリンに出かけたのだという。

 2年後に再びサハリンを訪問したとき、中国人の進出は凄まじく、実質的な農業権を握っていた。「中国人が増えて、治安がひどくなったのでは?」と聞いた仲間に対して、残留韓国婦人のガイドさんが「ロシア人のほうが遥かに強暴だから、彼らは実におとなしくしている。ロシア人には“先祖代々殺人の家系”というのがあるようだ。それにしても中国人に手出しも出来ないなんて、戦後の日本の男はだらしなくなったね」といわれて一同“沈黙”したことがあった。

 電話交換手の悲劇があった真岡で、「十勝」という日本レストランで昼食をとったが、ショーケースには、寿司や焼き鳥などの日本食の見本が並んでいるのに、この店もロシア人が「経営」しているのだという。この店も営業が軌道に乗ったら、オーナーの日本人店主が、侵入してきたロシア人たちに二階から投げ落とされて殺害され、これを見た日本人の料理人は帰国してしまったので、丸々店は奪われたのだという。

 サハリン北方で、ガスや石油が出た!と日本企業が参加して賑わっていたが、「きっと取られるよ」と彼女は予言したがそのとおりになった。

 中国もそれに似ている。2000年に上海市の党委員から「日本企業を税金などで優遇して最優先で誘致していますから、どんどん進出してほしい」と説明されたが、私は眉に唾して聞いていた。社会システムが異なる以上、日本の商理念が通用する筈はないからである。

 案の定、台湾の奇美実業がその手に引っかかった。善人を地で行く許文龍氏は、大陸側が提供を予定している広大な土地に、人家が残っていることを憂慮し、いったんは断ったようだが、大陸側は「土地は国家のもの、立ち退かせます」と約束し、きれいに更地にしてくれたから奇美実業はそこに工場を建設して進出したらしい。

 ところが、である。生産が軌道に乗るや、台湾の政治がらみによるつるし上げが始まり、許氏は「いわれなき汚名を着せられ」やがて工場も、「立ち退きを余儀なくされた人民たち」から訴えられたのである。しかも強制立ち退きを実施した「国」は見てみぬふり、許氏は莫大な損害を受ける。

 今、日本企業がそれと同様の仕打ちを受けているのだが、わが企業関係者たちは、今まで何を学んだのだろうか?自分だけはそんな目にあうはずがない、と高をくくっていたに違いない。

 今回の中国での騒ぎに対して、日本総領事館は「日本企業の地位を約束する日中投資保護協定を根拠に抗議する方針」だそうだが、1920年代の、ワシントン条約をめぐる中国側の、国際法を全く無視した行為に対して列強がいかなる共同行動を取ったか、良く学ぶ必要があろう。

 胡錦濤主席が、懸命に「調和社会建設」を目指しているのは分かるが、13億もの人民には、殆ど無関係、それに輪を掛けた「ローカル・ボス(地方党員)」たちがうごめいているのである。

 進出企業は、自分の身は自分で守らねばならないことを痛感しただろうが、大陸進出で蒙った「被害金額」を、ベトナムや国内などで稼いだ金で「粉飾決算」して帳尻を合わせてお終い!では済まない問題であろう。

「お人よし日本人よ、目を覚ませ!」と言いたくなる所以である。



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