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外交小論・真の国際化の特効薬:韓国国連常任理事国入りfirst!

■「国家能力の構築」について
 ここではまずWHO(世界保健機関)が出した「たばこ規制のための国家能力の構築ハンドブック」という本の緒言を紹介させていただきたいと思います。

 私たちは、タバコ規制の新たな世紀へと突入しようとしている。世界保健機関のタバコ規制枠組条約(WHO FCTC)は、タバコ消費を原因とする死亡者数および人生において失われてしまう健康的な年月に歯止めをかけようという取組みを大きく飛躍させるための象徴である。WHO FCTC を通じて、タバコ使用を減らそうとする取組みは、早死および疾患の早期発症の最重要危険因子のひとつに対する有効な国際的対応として戦略的に調整される。
 ひとたびWHO FCTCが発効すれば、各国はタバコ使用の流行と取り組むための強力な手段を得ることになる。(2005年2月発効しました)
 ただし、WHO FCTCはこの重大な公衆衛生問題に対する解決策のごく一部に過ぎない。WHO FCTC がタバコに対する行動のための枠組を提供する一方で、タバコ使用に対抗するための実際の作業は当然に国レベルで行われなければならない。WHO FCTC の成功は、ほぼ全面的にその条文を実施し、執行する各国の能力によって決まる。従って、WHO FCTCが成功を収めようとするならば、すべての国においてタバコ規制に関する国家能力の構築と強化が決定的に重要となってくる。
 本書は、各国政府および保健省がタバコの流行に対抗する際の、効果的な能力開発の実際的な指針提供の必要性に応えるためのものである。本書にはWHO のすべての地域が網羅されおり、実際の各国の事例や経験を活用するためのあらゆる努力が払われている。本書の骨組みと言語については、できるだけ多くの末端利用者に役立つように、努めて単純で直接的なものとした。
 本ハンドブックは主として国レベルのスタッフを対象にしたものであるが、地方レベルのプログラム・スタッフおよび民間部門のスタッフも本書から得るものがあるであろう。このハンドブックのような資源を通じてWHOは、WHO FCTC への補完として、国内のタバコ規制実施の能力構築において加盟各国を継続して支援しようと考えている。このような組み合わせにより、現代の健康障害で最も破壊的で広く行き渡っている原因のひとつを効果的に規制する最高の希望が世界に提供されることになるだろう。公衆衛生のための手段としてのWHO FCTCの成功は、来るべき年における各国のFCTC実施に振り向けるエネルギーと政治的な約束次第である。その成果は、すべての人々にとっての世界的公衆衛生の利益につながるであろう。
世界保健機関事務局長Lee Jong-wook

 WHOは今問題になっているアスベストの健康被害に関しても15年前から警鐘を促してきた、健康における世界の英知を集めた組織です。WHOはこのハンドブックでも13章に明確に「たばこ産業に対抗する」という項目をあげています。Lee事務局長の緒言は「世界の社会秩序」を象徴することばではないでしょうか。

■わが国・真の国際化:国連常任理事国入り・韓国first!
 Jong-wook LEE事務局長は韓国の医学者、WHOたばこ規制枠組み条約の立役者ブルントラント女史の後任に相応しいとみとめられたかたです。ちなみにブルントラント事務局長の前任事務局長は日本人医師でしたが、ブルントラントさんは着任と同時にWHOの大改革を強力に推進し、WHOたばこ規制枠組み条約を完成させLee Jong-wook氏にバトンタッチしました。Lee Jong-wook事務局長はブルントラント路線を継承されています。韓国でもたばこ産業は日本同様重要ですが、韓国はこの「たばこ規制のための国家能力の構築」に合意するだけでなく積極的な事務局長をWHOに送り出すことで「世界の社会秩序」構築に参画し「主導権をも取る」という世界への意思表示をしているのかもしれません。WHOはいうまでもなく国連機関です。連常任理事国入り。韓国に先を越されることが、わが国の国際化を目覚めさせるもっとも早いのかもしれません。

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