街頭の風景写真が手軽に見られるインターネット検索大手グーグルの新サービス「ストリートビュー」が5日から国内で始まった。便利さの半面、映った人や家屋のプライバシーが侵されかねず、グーグル日本法人には数十件の画像削除要請が寄せられている。
このサービスはグーグルの地図サイト上の機能。住所などで地点を指定すると、グーグル側が最近撮影した画像を無料で見ることができる。車で公道を走り、全方向をカメラでとらえている。海外では不動産会社が物件紹介などで使う例がある。国内では札幌、東京、大阪など12都市で対応し、今後拡大していく方針という。
グーグルは「公道から撮影した画像は基本的に公開が可能と判断した」と説明。通行人の顔は自動識別機能を使ってぼかし、車のナンバーは撮影時になるべく映り込まないようにしているという。
しかし、写真の中には繁華街の路上で警官から職務質問を受ける男性や、ホテルに入ろうとするカップルなどの画像も閲覧できる状態だ。
このため、サービス開始直後からネットの掲示板サイトでは、個人のプライバシーにかかわるような画像を探して紹介する騒ぎが起きている。
グーグルは、プライバシーを侵したり公序良俗に反したりする画像の削除を画面から依頼できるようにしており、通報者と相談しながら対応したいという。
石村耕治・白鴎大教授(情報法)は「グーグルが社会の合意を得る努力をしているかや、撮影される側が情報をコントロールできる仕組みを作っているかが問われる」と指摘している。