超人ハルク
10月某日、稲城市に所在する東京Vのクラブハウス。練習が終わり、帰宅する選手、監督らを待って室内でくつろいでいると、階段の上から、ニヤリと口元に笑みをたたえ、鋭く目を光らせる男が立っていた。
視線の主はブラジル人FWフッキ。東京VがJ1復帰を期して今季獲得した助っ人だ。
本名はジヴァニウド・ヴィエラ・デ・ソウザという。Jリーグのファンには既に浸透しているが、フッキ(Hulk)は本名ではなく、母が付けた愛称。フッキが幼少の頃に大好きだったTVドラマ、主人公が緑の怪物に変身して立ち回る「超人ハルク」に由来する。今季はまさにその超人ぶりを発揮。現在までに32得点と得点王を快走しチームを牽引。彫りの深い端正な顔立ち、いや強面。イタズラ好きで、パソコンと豆料理が得意な青年は21歳とは思えない。
さて、クラブハウス。こちらを見つめる“ハルク”は何を思ったか、善良な市民に向けいきなり銃を乱射した。銃はエアガン、銃弾がBB弾(プラスチック)であったため一命を取り留めたが、発砲後の犯人は満面の笑み。頭にはなぜか、ハロウィン用のふざけたオレンジ色の帽子が。なんてヤツだ、と怒りにまかせてチームスタッフに物証の銃弾を差し出すと「でも、服着てたんでしょ。ロッカーでは裸の選手に向かって撃ってるから」とひとこと。
超人の扱いにもすっかり慣れた緑の名門。J1フッキはもう目の前だ。(千葉、東京V担当・桂川 洋一)
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