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天洋食品ギョーザ、中国で中毒 現地混入濃厚に

2008年8月6日11時14分

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 中国製冷凍ギョーザの中毒事件で、中国国内で回収された製造元・天洋食品(中国河北省)のギョーザを食べた複数の中国人が、有機リン系農薬成分メタミドホスによる中毒症状を起こしていたことが6日、政府関係者の話で分かった。警察庁は中国側に詳しい情報を求めるとともに、同成分が現地で混入された疑いが高まったとみている。

 関係者によると、この情報は7月の北海道洞爺湖サミット直前に、外交ルートを通じて日本政府に通知され、外務省から警察庁に伝えられていた。流通経路などは中国公安省が調べている模様で、警察庁は北京五輪の閉幕を待って、中国側との捜査協力をさらに強める構えだ。

 天洋食品製ギョーザは中国国内の市場でも出回っていたため、日本での中毒が発覚した1月末以降、中国国内でも回収された。詳しい経緯は不明だが、6月中旬に回収品を食べた複数の中国人が中毒症状を訴えた。症状が重い人もおり、メタミドホスが原因と特定されたという。

 日本側のこれまでの捜査では、吐き気や下痢の中毒症状の被害を受けた千葉、兵庫両県の計3家族が食べた問題のギョーザや、関西地方のスーパーなどから回収された主に包装袋の外側が汚染されていた商品のほかに、新たな汚染は見つかっていない。

 具材からはニラの残留検疫基準の6万倍を超える同成分が検出されている。「包装袋の外側から染み込むとは考えられない量」(警察庁幹部)として、同庁は日本での流通過程で混入された可能性は極めて低いと断定している。

 一方、中国側は、実際に流通する状態と近い条件で行ったとする浸透実験で、大部分の袋の外側から同成分が中に浸透したと主張。従業員55人の事情聴取結果などから「工場での混入の疑いはない」としていた。

 日中捜査当局はこれまで、捜査や科学鑑定の専門家による情報交換会議を4回開催したが、双方の見解の溝は埋まらなかった。その後も四川大地震の発生や北京五輪警備などの影響もあり、両国間の捜査協力に目立った進展はない。警察庁は同成分の鑑定などで協力に応じる構えだ。

◆政府「中国当局が捜査中」とこれまで公表せず

 政府高官は6日、中国政府から情報が伝えられていたことを認めたうえで、公表していなかった理由について「まだ中国の捜査当局が捜査している」と述べた。外務省幹部も「事実が確認できたら日本に正式に伝えてくることになっている」と説明。「日中双方とも『国内では混入していない』と言ってきたが、違った話が出てきた」と指摘した。

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