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厳戒北京、警備に140万人 出稼ぎ者100万人は帰郷(3/4ページ)

2008年8月4日3時1分

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写真四川大地震のため延期されていた聖火リレーが、四川省広安市のトウ小平(トウは登におおざと)生家陳列館前をスタートした。第1走者は大地震の救援活動で「英雄模範」となった蒋敏さん=3日午前、樫山晃生撮影

 「土地を奪った不良警官を捕まえてくれ」。7月下旬の朝、男性が玄関前で叫んだ途端、4人の私服警官が取り囲んだ。男性は近くに止められたワゴン車に押し込まれた。

 北京五輪のロゴと「治安ボランティア」と書かれたポロシャツを着た中高年の男女が、近くで見ていた陳情者に近寄った。「彼みたいになってもいいんですか。国家のため、五輪のため、そしてあなた自身のために我慢しましょう」。陳情者の女性は涙ながらうなずき、その場を後にした。地元住民で組織する「治安ボランティア」は29万人。側面から警備を支える。

 北京は、地方の役人の不正を訴える陳情者が多く訪れる。だが公安省の楊煥寧次官は、五輪終了まで陳情を減らすよう指示した。毎日100人前後の陳情者が拘束され、収容施設に送られた後、地元警察に引き渡される。07年の公安省への陳情は3200件あったが、今年7月の受け付けはほとんどなかった。

 「今日は陳情者はいないのか」。夕方、空々しい声が路地に響き渡り、受付所の門が閉められた。

 故宮に近い地安門地区。7月10日、十数台の警察車両が大通り沿いに1軒だけ残った37平方メートルの古い民家を取り囲んだ。警官がトタンやドアを外そうとした瞬間、住人の于萍菊さん(40)が叫んだ。

 「今、この警官が偉大なるトウ(トウは登におおざと)小平同志と温家宝(ウェン・チアパオ)首相の写真を破ったわ。不敬罪よ」。100人以上のやじ馬からブーイングが上がり、警官らは退散。「人民の勝利だ」と拍手がわき起こった。

 于さん一家は14人。焼き栗を売って生計を立ててきた。今年1月、「五輪に向けたスラム街の一掃」を掲げる当局から立ち退きを迫られた。補償金として34万元(530万円)を提示されたが、「生家は渡せない」と拒否。店の機材を壊されるなどの嫌がらせを受けた。家じゅうに国家指導者の写真をはり、「庶民の生活を守る温家宝首相は最高」と看板を掲げた。

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