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急減する韓国の外貨保有高(下)

先月だけで105億ドル、史上最大の減少幅

 これに対して外債は増加を続けている。外債総額は2005年末の時点で1878億ドル(約20兆3000億円)だったのが、今年3月末には4125億ドル(約44兆6000億円)へと急激に増加した。とりわけ政府が注目している1年以内に満期が到来する流動外債も、今年3月末現在で2156億ドル(約23兆3000億円)に達した。

 誠信女子大学の姜錫勲(カン・ソクフン)教授は、「外債が増えるペースがここ1年で非常に早くなっている。このペースが続けば問題が起こる可能性もある」と述べた。

 韓国政府は現時点での外貨保有高について心配するほどの状況ではないと主張している。企画財政部の姜万洙(カン・マンス)長官は先月23日に国会での答弁で、「適正レベルの外貨保有高については一致した見解がない。ただ2100億ドル(約22兆7000億円)以上を維持すれば適正レベルだとの意見が大勢を占めている」と述べた。

 しかし為替安定のための市場介入を今後も続けることで、1カ月に100億ドル(約1兆1000億円)もの外貨保有高が失われる状況が続けば、問題はそれほど単純なものではなくなってしまう。現在ソウル外国為替市場の1日の取引額は90億ドル(約9700億円)に達し、市場の規模が大きく膨らんでいる。そのため政府が影響力を行使するために必要なドルの額も増加しつつある。

◆外貨保有高の減少でウォン安が止まらず

 韓国政府による市場介入の効果に疑問を投げ掛ける声も少なくない。4日のソウル外為市場では外貨保有高が減少しているとのニュースが伝えられたことから、ドルに対するウォンの価格は前日よりも2.80ウォン(0.28%)安い1ドル=1017.40ウォンを記録した。ある銀行関係のディーラーは「外貨保有高がいくら多くても、政府が市場に介入して流れを変えるのは無理な話だ」と指摘した。

 金融市場では「9月のウォン値崩れ説」が流れている。昨年下半期に世界的な信用不安でドルが不足した際、韓国国内の金融機関が世界中から借りてきたドルの満期が9月に集中しており、そのためウォンの価値が大きく落ち込むという予想だ。

 韓国政府もこのような事実を意識してか、政府部内で外貨保有高を適正レベルに維持するための検討作業に入った。政府関係者は「輸入物価を抑えようとすれば外貨保有高が減少し、外貨保有高を維持しようとすれば輸入物価を抑えられなくなる」と語った。

金起勲(キム・ギフン)記者

クム・ウォンソプ記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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