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貧民街を見下ろす高級マンション生活

全財産はたいて北京に住んでみた(1)

藤倉 善郎(2008-08-05 15:00)
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 間もなく中国の首都北京でオリンピックが開催される。その北京で、知人の中国人を通じて、マンションを1カ月間借りることができた。家賃は8000元(約12万円)。

 飛行機代は、ちょっとした寄り道も含めて往復14万円(どこに寄るかは、続きを読んでのお楽しみ)。

 家賃は日本のメディア関係者3人とシェアするため、 1人あたり約3万円だ。五輪期間中にしてはリーズナブルな滞在だが、オーマイニュースでたびかさなる「全財産はたき」を繰り返してきた記者には貯金などない。

 しかしオリンピック中の街を見たいがために、清水の舞台ならぬ万里の長城から飛び降りるつもりで、またまた全財産をはたいて北京に住んでみることにした。

日本語禁止のマンション生活

 マンションは、個人的なコネを通じて借りたとは言え、正規の手続きを踏んでいる。やましいことはしていない。ところが、マンションの中国人オーナーからは、こんな注意をされた。

 「マンションの敷地に入ったら、日本語で会話しないようにしてください。もちろん、部屋では日本語で話しても大丈夫です」

 記者の部屋がある棟は、広い敷地内に30階前後の高層マンションが何棟も立ち並ぶ敷地の一角。ICカードを使って通る玄関のゲートから自分の部屋まで、敷地の中を5分ほど歩かなければならない。中国語を話せない記者は、その間ほぼ無言だ。

 マンションから外に出かけるたびに、これを繰り返さなければならない。

北京は空前の住宅バブル

 敷地内の周囲には、いまも建設途中の高層マンションがいくつもある。通訳のY氏によると、北京はいま空前の住宅バブルなのだとか。

 「2LDKのマンションなら、日本円でだいたい1500万円くらいが相場です。しかし中国人の年収は日本の6分の1くらい。多くの人はローンを組んでマンションを買っていますが、ローンを返せずに破綻する人が、これから続出するのではないか」(Y氏)

 確かに、日本の6分の1の年収で、日本の半値程度のマンションを買い、家賃収入が多くないとなれば、かなり負担は大きい。部屋を人に貸して家賃収入を得ようとする投機目的での購入者も多いというが、家賃がまださほど高騰していないために、家賃で儲けを出すには時間がかかるようだ。

 そんな北京で12万円もの家賃でマンションを借りた記者は、気分だけはリッチマン。家主にボッタクられているなどと考えず、かりそめの勝ち組気分を味わうことにした。

眼下に広がる貧民街

 マンションに到着したのは夜だった。翌朝、窓の外を見てビックリ。なんと、自分のいる棟も含めていくつもの高層マンションがならぶ敷地のすぐ脇に、崩れかけたレンガ家屋がひしめいているのだ。高いマンションの上から見ると、貧民街のように見える。
貧民街のすぐ向こうでは、いまも新たなマンションが建設中だ=8月2日、中国北京市内で(撮影:藤倉善郎)
 眼下の景色を見下ろし、コーヒーを飲みながら、ルームメイトの1人であるPJニュース編集長、小田光康さんともども大興奮。

 「小田さん、ぼく『貧民街を見下ろす北京の高級住宅生活』って記事を書きますよ」(藤倉)

 「おお、上から目線だな」(小田氏)

 しかし、ただお気楽に見下ろすのではなく、実際にあの街に行ってみたい。次回、貧民街を含めて北京探検をリポートする。


【編集部注】 初出は2008/8/4 17:00。写真差し替えのため、同日21:25にいったん掲載終了後、再掲載しました。


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