Name: apj Date: 07/15 17:298-OHdGさん、
>例えば電磁波と分子の周波数が合えば、分子が電磁波を吸収し内部エネルギーが増大する。その違いがラマンでどの程度出るのかな。
通常のラマンならば、最終的な温度変化分だけ出ます。
電磁波を水の振動モードの周波数に合わせた場合は、確かにその振動モードがエネルギーを吸収しますが、速やかにそのエネルギーは散逸します(Bakkerらが、パルスレーザーを使って測定してます)。つまり、振動モードが変わったままではいられないということです。この現象は、水の振動緩和と呼ばれています。 もっと低い周波数の電磁波だと、電子レンジと変わらない効果になります。
水の振動の場合は、エネルギーを与えても散逸が早すぎて、スペクトルの変化として見るのは困難です。どうしても見たければ、振動モードのエネルギーにぴったりあったパルスレーザーで、一度に集中してエネルギーを与えて、振動の励起状態と基底状態の分布を変えた後で、それが元に戻るまでの時間(ピコ秒のオーダーになりますが)の間に、吸収や散乱のスペクトルを測定するしかありません。それを過ぎると、最終的に、温度が変わった分だけの変化が観測できるだけになります。
ということで、振動モードに電磁波のエネルギーを与えても、振動緩和時間以内に測定しない限り、ラマンでも他の実験方法でも、温度変化分以上の結果は出ないでしょうね。
>水温が25℃→50℃に変化してもグラフ上はそれほど大きな変化がない。
これも間違いで、普通にラマン散乱を測定すれば、3500cm-1附近のスペクトルには差が出ます(Walrafenら、J. Chem. Phys. 85(1986)6967)。大小は程度ものなので、実際のスペクトルを見るしかないのですが、議論できるだけの違いはあります。なお、文献では、等吸収点に相当するものがあると報告されましたが、その後、どうも違うらしいという話になっています。
まあ、磁気活水のように、誤差の範囲で見た目もグラフがぴったり重なる、などというのとは違って、温度依存することがわかりますよ。
>極性の変化に伴う分子の配列だとすれば、ラマンスペクトルに現れる変化は小さいものとなる
この部分は、あなたの間違った想像です。
配列が違ってもラマンに差は出ることが予想されます。極性が変わるということは、水分子の電子雲の形状が変わるということです。すると、その形状で分子振動すれば、分極率の変化は元と違ったものになるので、むしろラマンでは敏感に引っ掛かる、見えやすい方の変化になるでしょうね。
ところで、ちょっとおききしますけどね。配列が違えば誘電率が敏感に変わるはずですが、測定の結果誘電率が変わらなければ配列云々の空想話は撤回しますか?
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