元売りや卸売り、GSや組合がそれぞれ横並びでの値上げを合意するカルテル行為は独占禁止法違反(不当な取引制限)。登記上は別法人の卸売会社が、系列GSの店頭価格を指示・拘束する行為も同法違反(不公正な取引方法)だ。93年11月に広島で、96年12月には愛知で、それぞれ組合支部がカルテルを結んでいたとして公取委から排除勧告を受けた事例がある。
石油情報センターの調査によると、5月末から6月頭にかけて、神奈川県の平均値上げ幅(レギュラーガソリン1リットルあたり)は全国平均の11.6円を大きく上回る16.6円で、上げ幅は全国1位だった。この時期の元売りの値上げ幅は9.5〜13円なので、理屈では卸売会社や各GSの販売段階で3.5〜7円上乗せされたことになる。
こうした状況を、元売り側はどうとらえているか。
ある関係者は6月の元売りの値上げが店頭価格に反映するまでの早さに驚いたという。「わずか2日で一挙に転嫁が進んだ。うまく(談合を)やったとか、そんな話は把握していないのだが……」と困惑気味だ。その後、公取委からは「探り」を入れるような電話もあったという。
元売り各社は8月から1リットルあたり5〜6円の値上げを表明しており、店頭価格が190円近くまであがることも予想される。「違反が疑われる場合は調査したい」と国会で答えた公取委も、今後の動向に目を光らせている。