オリンピック開幕まであと8日。北京市では華やかなムードが広まっていますが、その一方で政府に不満を持ち、陳情にやってくる人々の拘束が相次いでいます。その数はなんと1か月で1万人に達しています。
「私を撮って下さい!人権が欲しい!」(陳情者)
訴状を掲げて、口々に中国当局への不満を訴える人々。地方官僚の腐敗などを告発しようと、中国全土から北京に集まってきました。
「撮影をやめろ!」(警備員)
「外国人記者には『取材の自由』があるのでは?」(記者)
「いいから撮るな!」(警備員)
「撮るなだと?どういうことだ。無実だ!無実だ!」(陳情者)
陳情に訪れた人たちが宿泊した旅館街、通称「直訴村」は一時、数万人が滞在していたといいます。
地方から陳情に来る人たちが集まっていた直訴村は、完全に取り壊されてしまいました。一面、瓦礫の山です。取り壊しの理由は、オリンピックの開催にあわせた駅の改築工事。今、人々は猛暑の中、野宿しながら訴えが認められる日を待ち続けています。
「数十回、北京で直訴したが、うち9回も拘束された」(陳情者)
この男性は、再開発に伴う立ち退きで地元当局と対立し、息子が中学校から追い出されたと主張しています。
こうした訴えに地方政府は神経をとがらせています。直訴阻止のために陳情窓口の周りには、大勢の私服警官が待ち構えています。
「記者と話して何が悪い!」(陳情者)
オリンピック期間中は、集会の自由を保障するとして、中国当局は北京市内の3つの公園にデモを認める専用区域を設けるといいます。
しかし、当局の言い分とは裏腹にこの1か月だけでおよそ1万人が北京で拘束されたといいます。
この背景には、各地で相次ぐ暴動によって社会不安が拡大しかねないという中国政府の強い危機感があります。
「私たちには人権がない。家に帰っても弾圧されるだけだ」(陳情者)
(31日18:10)