銃撃事件の現場を調べる捜査員たち=30日午後8時11分、福岡県須恵町、長沢幹城撮影
容疑者を捕らえた現場を調べる捜査員たち。手前は容疑者が乗り捨てたと思われるバイク=30日午後6時50分、福岡県須恵町、長沢幹城撮影
銃撃事件の現場
30日午後4時52分ごろ、福岡県須恵町上須恵の路上で、近くに住む指定暴力団工藤会(本部・北九州市)系の篠崎一雄・元組長(66)が、男に拳銃で数発撃たれ、約1時間後に搬送先の病院で死亡が確認された。県警は同会系組幹部の小野朗容疑者(40)=北九州市小倉北区砂津1丁目=を殺人未遂と銃刀法違反(所持)の疑いで現行犯逮捕した。
県警によると、篠崎元組長が自宅を出ようと門扉を開けたところ、近寄ってきた小野容疑者が拳銃3、4発を発砲。胸など数カ所に命中した。小野容疑者はバイクで逃げようとしたが、篠崎元組長の関係者が車を発進させてバイクをはねるなどして取り押さえ、駆けつけた警察官に引き渡したという。小野容疑者もあごの骨が折れるなどの重傷を負った。
事件は多くの住民に目撃されていた。複数の目撃者の話では、銃声を聞いて外に出ると、現場近くの町立須恵中学校のグラウンド前の路上で、小野容疑者のバイクが乗用車にはねられ、立ち上がると再び車にはねられた。その後、2人の男が「なんか、貴様」などと叫びながら、小野容疑者を木刀で殴ったり、けったりしているのを見たという。
数分後、目撃者の110番通報を受けてパトカーが現場に到着。血だらけで倒れている小野容疑者と、約50メートル離れた場所に倒れている小野容疑者のバイクを確認し、バイクの小物入れに入っていた回転式拳銃1丁を押収した。
県警によると、殺害された篠崎元組長は工藤会の中枢にいたこともあったが、数年前に会を離脱したとされる。
現場は、町役場や町立中学校、公民館などの公共施設が集中する町中心部の住宅地。中学校では事件当時、部活動の練習などが行われており、数十人の生徒がいたという。
県警によると、県内で起きた発砲事件は今年7件目。工藤会関連では、北九州市小倉北区で2月、元組員が射殺される事件があった。