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五輪選手団、防塵マスク持参 大気汚染対策に完全防備

2008年7月28日15時2分

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写真北京五輪で日本選手団が持参する防塵マスク

 北京五輪の日本選手団が、工事現場で作業に使う防塵(ぼうじん)マスク約500枚を、現地に持ち込むことになった。自動車の排ガス中にあるススなどの大気汚染物質は、風邪や花粉症用のマスクでは防ぎ切れないとして、このマスクに白羽の矢を立てた。

 日本オリンピック委員会(JOC)が今年、五輪候補選手ら400人以上の呼吸器系を検査したところ、約1割がぜんそくを起こす可能性がある体質とわかった。粉じんなどを吸い込むと発作が出る恐れがある。そこで本部ドクターの赤間高雄・早稲田大教授(スポーツ医学)は練習などに向け、防塵マスク持ち込みを決めた。

 このマスクは業務用マスク最大手「興研」(東京都)の使い捨てタイプで、直径0.06〜0.1マイクロメートル(1マイクロメートルは1千分の1ミリ)の微粒子を95%以上カットする。フィルターは11グラムと超軽量で、呼吸しやすいように排気弁もついている。

 自転車競技の代表選手らが国内練習で使ってみた。息苦しさも出ず好評だった。使うかどうかは選手の判断だが、同競技のチームドクター、小林裕幸・防衛医大講師は「ぜひ活用したい」と話す。

 桐蔭横浜大の星秋夫教授(健康・スポーツ科学)は、東京・皇居周回道路(1周5キロ)で、20代男性10人の血液の変化を調べた。呼吸器系の炎症を抑える効果がみられ、マスクの有無でタイム差はなかったという。

 気象予報士の馬場正彦さんは昨年8月、北京の大気汚染を簡易測定した。市中心部の粉じん濃度は5段階評価で悪い方から1、2番目にあたる「非常に多い」「多い」だった。マラソンや自転車ロードレースなどの長時間競技では影響が懸念されている。

 米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、米国は代表選手に2年間かけて開発した特殊マスクを配り、英国も先端にバルブのついた最新型マスクを用意しているという。(森治文)

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