浸水した住宅のガレージ=28日午前10時、金沢市笠市町浅野川がはんらんし、町中に水があふれた=28日午前9時57分、金沢市主計町、那波智彦撮影家の中まで流れ込んだ土砂をかき出そうとする住民たち=28日午前10時7分、金沢市並木町、那波智彦撮影
28日未明から早朝にかけ、北陸地方は活発化した前線の影響で激しい雨に見舞われた。金沢市では、市内を流れる浅野川と高橋川、大野川がはんらんし、各地で道路の冠水、床下・床上浸水、土砂崩れなどの被害が出た。
同市は午前8時50分に浅野川水系全域の約2万世帯5万人を対象に避難指示を出し、午前11時45分に解除された。石川県危機対策課などによると、浅野川流域では、町家が並び国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されている金沢市主計(かずえ)町などで、高橋川流域では同市四十万町の1カ所ではんらんが確認された。最大60分雨量は、金沢市の芝原橋付近で138ミリを記録した。
午前10時までに県道など6路線が計約6キロにわたって通行止めになった。県警のヘリコプターの調査によると、浅野川上流で道路が陥没したり、土砂崩れが起きたりしているという。
北陸電力石川支店によると、金沢市内で一時約1200戸が停電。JR西日本によると、JR北陸線と七尾線で特急「サンダーバード」など計34本が運休した。
富山県内でも28日未明からの雨で午前10時現在、南砺市で土砂崩れにより2棟が全壊したほか、1棟が床上浸水、47棟が床下浸水した。午前6時50分ごろ、富山市八尾町東葛坂の県道で道路わきの土砂が崩れ、同市八尾町の会社員尾林栄治さん(53)の乗用車を土砂崩れ防止用のコンクリートの塊が直撃。尾林さんは約2時間後に救出されたが、肋骨(ろっこつ)などを骨折したという。
金沢地方気象台によると、北陸地方は28日午前、日本海から前線が停滞。本州南海上にある太平洋高気圧から暖かい湿った空気が流れ込み、雨や雷雨が発生しやすい不安定な大気の状況だった。
大阪管区気象台などによると、この前線の影響で、28日夕方ぐらいまで北陸から山陰地方にかけて広い範囲で強い雨や雷雨となる恐れがあるといい、近畿地方北部では浸水害や河川の増水への注意を呼びかけている。