政府の教育再生懇談会(座長・安西祐一郎慶応義塾長)が、小中学校と高校の教科書を充実させるためにまとめた教科書改革の素案が明らかになった。「ゆとり教育」の転換を目指し、国語、理科、英語の教科書のページ数の倍増などを掲げている。28日の懇談会から具体論に入り、今秋にも福田首相に提出する第2次報告の目玉にする方針だ。
小中学校の教科書は、授業を受けながら使うことが前提の「主たる教材」とされているが、素案では「自学自習に適した教科書」への転換を目指す。1人で読んでも理解できるよう丁寧な記述にし、算数・数学では練習問題、国語や英語では古典や文豪の名文、英字紙の引用などを増やすことを提言している。
また、学習指導要領の範囲を超えた「発展学習・補充学習」も充実させる。現在は文部科学省の指針で、小中学校で教科書全体の1割、高校で2割が上限だが、最先端の科学など各分野の最新の内容を盛り込むため、上限撤廃を掲げた。外国の教科書との比較分析など、研究体制を充実させる方針も盛り込んだ。
教科書のページ数をめぐっては、同懇談会が5月の合宿審議で各国の英語の教科書を比較した際、福田首相が「日本はずいぶん中身が薄い」と指摘していた。(山下剛)