【ワシントン=梅原季哉、北京=坂尻信義】中国雲南省昆明で21日に2人が死亡した連続バス爆破事件で、「トルキスタン・イスラム党」(TIP)と名乗る組織が犯行を認め、北京五輪を中止しなければテロを続ける、と警告するビデオ声明をネット上で出していることが25日、明らかになった。
米政府などの契約業者としてテロ情報を収集、分析している米民間企業「インテルセンター」が明らかにした。
CBSテレビ(電子版)によると、声明は23日付で、約3分半。「セイフラ司令官」という人物が「中国及び国際社会に対し五輪を中止するよう再三警告してきたが、高慢にも中国は無視した」と語り、昆明だけでなく5月から上海、温州、広州で爆発物を使ったテロをすでに実施したと主張。「我々の目標は五輪に関連する最も重大な複数の地点だ。選手と観客、イスラム教徒たちは、不信心者と一緒になるべきではない」と警告した内容だという。
情報分析に携わる別の米民間企業ストラトフォーはTIPについて、新疆ウイグル自治区に拠点を置く少数民族のウイグル族でつくる「東トルキスタン・イスラム運動」(ETIM)の別称とみられると指摘。「犯行声明はある程度誇張されているようだが、まったくの虚偽と片づけることはできない」としている。中国からの分離独立を求めるイスラム教徒の組織としてはETIMが最も知られ、中国政府はテロ組織と認定している。
昆明での連続バス爆破事件では、中国当局が「テロ」とは断定せず、北京五輪との関連も「証拠は見つかっていない」と説明しているが、市民を無差別に標的にした犯罪行為に変わりはない。声明は主要都市を狙った犯行を予告しているが、路線バスなどの警戒には限界があり、五輪開幕を目前に控えた中国政府は難しい対応を迫られそうだ。