【2005年3月期の広告宣伝費ランキング。日経広告研究所・公表資料より抜粋】(上位ランキングは2006年3月期も、ほとんどそのままだ)
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熊本県警は7月11日、リコールを遅らせたことで、5人に全治50日の重傷などを負わせる事故を発生させた業務上過失傷害の容疑で、トヨタ自動車の部長クラス3人を書類送検した。トヨタ本社には昨年8月に家宅捜索も入っていたが、当時、この大ニュースについて、三菱(数年前)の場合には写真つきで報じたマスコミ各社は、トヨタの場合には、一行も報じなかった。
7月20日に国交省に提出された報告書ではクレーム(不具合件数)隠しも明らかとなり、いよいよ三菱に似てきたトヨタ。しかしマスコミは、同社が放つ年1,000億円超の広告宣伝費に懐柔され、死者が出るまで追究しないつもりだ。
◇1社だけケタが違う広告宣伝費
最近、数十万部の発行部数を誇る、大手週刊誌の編集者と、企画の話をした。
--過去最悪ペースだから、「リコールの王者・トヨタ」でもやったらどうですか?やはり通らない?
「そもそも、そんな企画、言い出す人もいない。最初から通らないの、分かってますから…」
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トヨタに対する気の遣い方は尋常ではない
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これとは別の大手週刊誌で、2年ほど前、提供した情報のうち、表の一覧表から、トヨタ自動車の部分だけが、ざっくりと削除されたことがあった(右記)。
トヨタの評価点が低かったためである。一応、編集者に聞いた。
--最初の打合せでは、特に問題ないはずって、言っていたじゃないですか。
「ゲラまでいって、最後の編集長判断で消されました。どうも毎月、億単位で広告が入ってるらしいんですよ…」
結局、表に載った自動車メーカーは日産だけ、日本を代表するトヨタがリストから外れる、という、いかにも不自然な状態になったのだが、それほどにトヨタは別格なのだった。気分を害されたら、広告費を削られ、編集長は更迭されかねない。こうして、トヨタのネガティブ情報は遮断され、マスコミを通して読者に伝わらない仕組みになっている。
--トヨタの広告って、要するに、口止め料なんですね。
「ほかに、ウチみたいな雑誌に、あんなに広告出す理由なんか、ないじゃないですか・・・」
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『週刊文春』2005年4月14日号より
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週刊誌が広告主に対して批判的なことを書けない事実は、2002年、『AERA』の「松下『改革』でV字回復のウソ」との見出しで、広告費ランキング2位に君臨する松下電器産業を怒らせた事件が有名だ。広告を引き揚げられてしまい、結局、謝罪文を同誌に掲載したうえで、編集長も更迭して収拾を図った件である(右記)。
雇われサラリーマン編集長というのは、現場の編集者が考えるよりもずっと、常に広告主にビビって仕事をしている。人によって多少の温度差こそあれ、これは、疑いのない事実である。
広告主のなかでも、過去10年以上にわたって広告宣伝費ナンバー1を誇る最強安定企業・トヨタは、別格だ。2006年3月期(2005年4月~2006年3月)の広告宣伝費でも、前年度比25%増にもなる1,029億円で、2位の松下(792億円)、3位のホンダ(751億円)を引き離し、全上場企業のなかで、ダントツ一位をキープしている。雑誌にとって、間違いなく最大のお客様なのだ。
新聞も売り上げの4~6割を広告収入に依存しているため、このスポンサータブー構造は、雑誌と基本的に同じである。(多少、強気な人が多い傾向はある)
◇8年間も危険なまま放置
トヨタは現在、米国法人社長のセクハラ更迭、リコール激増、そして刑事事件容疑(業務上過失傷害容疑)と、様々な問題が噴出しているが、マスコミが、トヨタや国交省から発表されたことをそのまま淡々と書くにとどめているのは、「口止め料」の効果というほかない。
なかでも消費者の立場から最も深刻なのが、.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。
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業務改善の指示
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