洞爺湖周辺キャンプ地には、G8にかかわる運動を展開する人々が集まってきているが、日本の市民メディアが強くなっていると感じられるキャンプになっている。というのも劣悪なインターネット接続環境のもと、G8メディアネットワークはISDN回線を駆使して情報発信しているからだ。
洞爺湖周辺キャンプ地には、G8にかかわる運動を展開する人々が集まってきているが、日本の市民メディアが強くなっていると感じられるキャンプになっている。
G8サミット開催地に洞爺湖が選ばれた理由の一つとして警備のし易さが挙げられる。
洞爺湖周辺までは札幌から車で3時間程度かかり、周りの公共交通機関からもアクセスしづらく、気軽に行ってみようという気持ちにはなかなかなれない場所にある。
集まってくる人々のためには、「オロフレほっとピアザ(壮瞥町)」、「伊達キャンプ(伊達市)」、「豊浦森林公園(豊浦町)」の3箇所にキャンプ地が張られているが、アクセスの不便さはどうにもし難い事実であり、政府関係者の思惑通りになっているともいえよう。
洞爺湖を選ぶ際に選択基準に含まれていたかは不明だが、アクセスの不便さに加えて、市民メディアにとってはもう一つ大きな困難が待ち受けていた。インターネット環境である。
近年、市民メディアの台頭がめざましいが、その背景にはインターネット技術の進歩が大きく影響している。マスメディアと違って機材も人材も不足しているため、インターネットは個人が情報を発信する手段として選択できる最良の方法となっている。
動画などの容量の大きいファイルを全世界に公開するためには、ADSLやCATV、光ファイバーなどのブロードバンドと呼ばれる回線が必要となってくる。しかし、今回筆者が訪れた「豊浦森林公園」は元々インターネットに接続するような環境はなかった。これは洞爺湖周辺のできごとを正しく速報性をもって配信しようとする市民メディアにとっては大きな痛手である。
上記のような状況の中、市民メディアとしてキャンプ地に入ることを許可され、準備を進めてきた「G8メディアネットワーク」では、どうにかして現地から情報を発信しようと試み、一定の成果を得ている。その成果とは、ブロードバンド社会とはかけ離れた「ISDN」接続。
ブロードバンド回線であれば数秒〜数十秒でダウンロードできるような動画も、ISDN回線では30分以上かかってしまうという状況であり、ブロードバンド環境に慣れている人々にとっては劣悪な環境である。
そのような環境でも、現地に入った市民記者から続々と情報が発信されている。今後はテキスト情報だけでなく、動画も配信されていく予定だ。キャンプ地にインターネット環境があるとは思っていなかったのか、海外から訪れた人々も情報が発信できるということに喜び、一時期はインターネットに接続できるPCに対して順番待ちが発生していた。
サミットの開催中はキャンプが続くため、これから多くの情報が発信されていくことだろう。
(もろた)
※当記事はG8メディアネットワークの著作権ルールにもとづいて転載しています。
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