やっとこさこれで今クールの仕事は終了です。
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最近、新企画のためにいろいろと昔の作品とかを引っ張り出しているせいか、サンデー時代のことをいろいろと思い出します。
企画会議に回した読切のネームに、編集さんの散々なコメントがついて返って来たりしましたしね。
ちゃんととってあります(笑)
でも厳しいことを言われるのは、それだけ期待されていると考えないといけません。
実際はどうあれ、作家はそういう姿勢で臨むべきでしょう。
まだ投稿を始めたばかりの頃(23歳くらい)、当時の担当さんにこんなことを聞かれたことがあります。
「読者から見て、今のサンデーってどう?」
私はこう答えたと記憶してます。
「安易な他誌の後追いはやめるべきだと思います。」
当時のサンデーは他誌でヒットしたジャンルの後追いとか、人気作に画風や作風が似ている新人を起用する傾向が目立ち始めてました。
読者としてはそういうことをやっている雑誌は当然、レベルが低く映ります。
雑誌のブランドイメージを低下させるようなことは、長期的に見て決して好ましいものではありせん。
その担当さんは少し意外そうにこう答えました。
「読者が見たがっているもの載せて何が悪いの?」
「読者が見たいと思っているもの」
「読者に見たいと思わせるもの」
この二つは似ているようで微妙に違います。
創り手が目指さなければいけないものは当然後者のはずです。
前者には創り手の主体性がありません。
創り手が自分たちの方向性を見失って、読者におもねるだけの作品は薄っぺらなものにしかなりません。
そんな作り方をしていれば、当然雑誌はふらふら迷走を始めます。
しかし当時はジャンプが大幅に部数を減らし、その読者が一時的にサンデーに流れ込んで来た状況で発行部数は伸びを見せており、編集部に危機感は全くありませんでした。
それから10年以上経ちましたが、いまだにサンデーはこの頃の方針から抜け出せてないように思います。
それはその「二番煎じ」の作品が大きな利益をもたらして来たからです。
いくら利益を上げても、そういった作品の売り上げは言ってみれば借金と同じです。
雑誌の信用を下げ、新人作家に軽蔑されるような作品を中核に据えるのは長期的に見て決して得策ではない。
そんな話をサンデーでの最後の担当さんとしていた記憶があります。
しかし、長年続けて来た編集方針はそう変わりません。
新しい作家・新しいジャンルの作品に編集部の反応は常に悪かった。
「君を起用しても売れるかどうかはわからないけれど、ベテランを使えばどんなつまらない作品でもコミックスは五万部・十万部、間違いなく捌けるからねえ。」
これはその時私がその担当さんから聞いた言葉ですが、侮辱的な意味ではなく、そういう理由で新人の起用に二の足を踏みがちな編集部を嘆いての言葉でした。
「う〜ん」と二人で考え込んでしまったものです。
その担当さんはこんなことを主張していました。
「努力賞に及ばなかった選外佳作にプレゼントされる原稿用紙を廃止し、千円・二千円でも良いから賞金を渡すべきだ。
例え金額が少なくても、お金を手にすることで新人のプロ意識を目覚めさせてくれるはずだ」
と。
なるほど、と感心しました。
その人は雷句さんの騒動で渦中の冠さんです。
「うちは今タイガースと同じでね。
世代交代がまったくうまくいってない……。」
そう苦笑いしていました。
タイガースは復活しました。
しかし、サンデーが復活するときは来るのでしょうか。
2008年07月14日
半人前日記54話終了
posted by 元首 at 23:56
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