先日のコメント欄で、週刊文春の記事についての意見を尋ねられました。
『”他にも作家を抱えていた担当者は『お前と打ち合わせしてる時間はねーんだよ。この通り描いとけ』と毎週ストーリーをファックスしてきた。
展開がおかしくなったので一度『嫌です』と反発したら、このセリフ(=『死ね、三流漫画家』)です。
結局、収拾がつかなくなって、連載は不本意な形で終了しました」”』
私は文春を読んでいませんから、コメント欄から抜粋しておきます。
陳述書と合わせれば誰だか容易にわかりますが、やはり「若手漫画家さん」としておきましょう。
作品は週刊少年サンデー2004年38号 - 2005年22・23合併号まで連載されたもののようですね。
当時は私はもうサンデーを離れていましたので、橋口さんの所のアシスタントさんからの伝聞でしか冠さんの様子は把握していません。
まず最初にはっきりさせておきたいのですが、この一件も冠さんも、雷句さんの原稿紛失には何の関係もありません。
陳述書の中で「良い噂を聞かない」と表現している通り、雷句さんは冠さんと面識もおそらく無いのではないでしょうか?
その上での私の意見ですが、こちらはあくまで一般の人にも理解してもらえるように書いておきます。
○当時「若手漫画家さん」が冠さんにどんな態度で接していたのか。
○どんな風に仕事を進めていたのか。
○FAXというのはどんな内容が書かれていたのか。
○件の発言はどんな会話の流れで出て来たものなのか。
これがわからないとなんとも言えません。
図式が漫画家対編集者・編集部の構図になってしまっているため、どうしても漫画家が一方的に被害者という構図で見られがちです。
この質問をしてくれたかたは優しい人のようですしね。
しかし私は98〜99年のネット上の自分の日記でサンデーの編集さんを悪し様に罵っていた作家(現在廃業)、この人がアシスタントに恒常的に殴る蹴るの暴力を振るっていたのを知っています。
一方的に作家の味方をするつもりにはなれません。
ちなみにこの編集さんとも顔見知りです。
2004年当時のサンデーでは「ファンタジー厳禁」の風潮がありました。
そこで新人の「若手漫画家さん」がこの作品を始められたのは、おそらく「ワイルドライフ」「ジャぱん」の実績がある冠さんが編集部サイドに強力にプッシュしたからでしょう。
「絶対にうまく行く」と話していたそうです。
私が話せるのはここまでですね。
ここからはおそらく理解してはもらえないでしょうが、プロとしての意見です。
プロは結果が全てです。
自分で立ち上げた企画だろうと、原作つきだろうと、編集部の押し付けた作品だろうと、ひとたび仕事を引き受けたら間違いなく締めきりに原稿を上げ、アンケートできっちり結果を出さないといけません。
「担当さんが非協力的だった」
「ストーリーを押し付けられた」
「ひどい言葉で罵られた」
「体調が優れない」
いずれも何の言い訳にもなりません。
言いなりに描くのが嫌なら、自分で好きなように描いてきちんと結果を出せばいい。
自分の描く物に「面白い」という確信があれば簡単です。
アンケートで1位・2位とれば誰も文句は言いません。
橋口さんと冠さんが立ち上げた「焼きたて!!ジャぱん」がなぜ最初に五週だけ連載されたのか、知ってる方はおられるでしょうか?
私の知っている作家さん達は、皆そんな世界で闘っていました。
「若手漫画家さん」だけが特別ではありません。
プロの立場から意見させてもらえば、「若手漫画家さん」の連載が不本意な形で終了したのは100%本人の責任です。
自分の所のスタッフが独り立ちするのは本当に嬉しいんです。
去年やっと一人送り出せた私にもよくわかります。
飛んで行って仕事を手伝ってあげたいくらい可愛い。
連載が短期で終わってまえば、どうやって慰めていんだろうと思います。
「自分の教えかたが悪かったのか」とさえ思います。
しかし私は「次、頑張りなさい」としか言っていません。
自分の力不足を他の何かのせいにするようになったら、その子はもう本当に終わってしまうからです。
どんなに可愛くても、ここを間違えてはいけません。
私の親父は癌で亡くなりましたが、親父が最期に合っておきたいと言う時に合ってやれませんでした。
原稿を描いていたからです。
コンシェルジュの17話でした。
仕事を終えてやっと駆けつけた時、親父はもう意識が無かったです。
睡眠時間を削り、栃木と千葉を往復しながら描いた一本でしたが、締切にも間に合わせ、アンケートでもきちんと結果を出しました。
原先生、北条先生、バンチ編集部は親父の葬式に大きな花輪を送ってくれました。
私は自分が特別なことをしているとは思いません。
原先生が失明を覚悟して原稿に向かっているのを知っているからです。
「(担当編集者のせいで)結局、収拾がつかなくなって、連載は不本意な形で終了しました」
誰が言ったのかは知りませんが、こんな情けない言い訳を聞いたのは初めてです。
2008年07月18日
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という事は、35話の有明先生と父親のエピソードも、一部は藤栄先生ご自身の体験をベースに、いしぜきさんと協力して作り出されたのでしょうか・・・。
(あの話と違って父親とは仲が良かったと思いますが。)
仕事に対する真摯な姿には頭が下がります。
例の漫画家さんの発言については、ただのグチが雷句さんによって大きく取り上げられてしまったため、当人も実際はちょっと困惑してる部分もあるのではないでしょうか・・・。
(うまくいかない事があったら、ちょっと知り合いにグチもこぼしたくなりますよね。)
漫画の方は私も一読者として当時リアルタイムで読んでましたが、絵についても内容についても読者を引き付ける要素が希薄で、途中で打ち切りになってしまったのは仕方ない程のデキだったと思います。
カローシなるものの根本の原因では。
情報が曖昧なまま物を見るなと言っておきながら、
最後の一文を書いてしまう辺り、なんだかなあ。
酒井さんの連載が不本意な形で終了した漫画家としての責任は、100%酒井さんにある、と私も思います。
ただ、同時に、自分が担当した連載が不本意な形で終了し、担当した漫画家に内部告発されるにいたった担当編集者としての責任は、100%冠さんにある、と考えています。
読者のひとりとしての立場から言わせていただければ、漫画家の力不足、編集長、デスクからのごり押し、いずれも何の言い訳にもなりません。
プロとしての自覚と責任を問う対象は、漫画家だけではありません。
また、師匠としてスタッフに対する藤栄さんの姿勢、立派だ、と思います。
ただ、プロは結果が全て、というのは、この点にも言える、と思うんですよね。
雷句さんが、結果的に、質の高い作品を書く弟子をひとりでも育てられれば、一概に間違い、とは言えなくなります。
漫画家というのは、ある分野で突出した才能が必要な商売、つまり、ある程度の才能の偏りは許容せざる、をえないものでしょうし。
今回、雷句さんに対してではなく、酒井さんに対して、はっきり御意見を述べられた点について、評価させていただきます。
冠さんに関しての話題での直接の対象者は、あくまで酒井さんですので、これで議論が噛み合いやすくなる、と思います。
酒井さんが内部告発したこと自体については、酒井さんが自分自身への大きなリスクをとったうえで、あえてしたことでしょうから、尊重しています。
リスクをとって冠さんを擁護しておられる藤栄さんに対しての気持ちと同様にです。
雷句さんの知名度を利用する、のはフェアではない、と言えるかもしれませんが、手段を選んでいる余裕がないのでしょうね。
最後に、週間文春の記事を読んでおられない、とのことですので、記事の内容について紹介されているブログへのリンクを貼っておきます。
よろしければ、目を通していただければ、と思います。
絶望先生ブログ するんぱしっく・わ〜るど
↑06月12日06:22 『週刊文春』6月19日号 雷句誠先生インタビュー記事 紹介
http://nyontaka.exblog.jp/8082806/#8082806_1
ちょっと、大仰に書きすぎましたかね(笑)
漫画家はこれだから。
親父もネタに使っちゃって悪いなあ。
でも、私の考えは概ねこの通りです。
他の漫画家さんについて、基本的にここでは実名を出すことはしません。
私でしたらあれだけの第抜擢をされれば、もうそれだけで十分なんですけどね。
nnnさんへ
漫画描いて死ねるなら本望ですよ。
三流漫画家は死ね!!…と言いたい訳ですね?
つまりは冠氏の三流漫画家は死ね!!発言に同意していると?
勿論アシスタントに暴力を振るう、というのは賛同出来る行為ではありませんが、その日記の中で編集の方を悪く言ってるのに関しては何の理由も無く悪く言ってるのでは無い様に思えますが?
それと例えば締切りが迫る中で何度も全没を出され、その上で日曜の昼から火曜の朝までに仕上げてくれ、と求められた場合それでも全てを自分のせいにして担当を攻めずにいることは出来ますか?
勿論僕も部外者なので例の日曜の事が本当かどうかも知らないし、細かい事情も解りません。なので例えばの話しです。
藤栄先生はもし担当さんからあまりに理不尽な扱いを受けたとして。相手を全く攻めずにいる事が出来ますか?
>『週刊文春』6月19日号 雷句誠先生インタビュー記事 紹介
あ、初めて見ました。
なるほど、直接「若手漫画家さん」への取材をして引き出してるわけですね。
私の意見が唯一絶対というわけではありませんが、「あ、こういう考え方もあるのか」と思ってくれれば。
編集さんは担当作品の当った外れたが自分への評価に跳ね返りますからね。
こっちもなかなかシビアです。
はい。リアルタイムで読んでました。
編集さんは自分で漫画を描くわけではないので、ペースはわかりません。
できないことはできないと言うのもプロの仕事です。
理不尽な扱いと言うのは具体的に言ってくれないとわかりませんが、私は編集さんを怒鳴ったことも、スタッフを怒鳴ったこともありません。
もちろん手を上げたこともありません。
最近の、雷句誠氏の小学館への紛失原稿損害賠償請求訴訟騒動についてのエントリー、興味
深く拝見させていただいています。
今回の記事について、ちょっと疑問に思う点があったのでコメントさせていただきました。
>プロの立場から意見させてもらえば、「若手漫画家さん」の連載が不本意な形で終了した
>のは100%本人の責任です。
雷句氏の陳情書、および週刊文春上で証言された、若手漫画家さんの連載終了について、
上記のように言われている一方で、
>橋口さんと冠さんが立ち上げた「焼きたて!!ジャぱん」
と作家と編集者両名の功績と取れるような書き方をされていますが、同じ編集者の担当作で
あるのに、このような表現の違いになったのはどういった理由からなのでしょうか?
執筆の責任のすべてを漫画家が持つならば、その功績についても漫画家が全て得るべきでは
ないかと思うのですが。
「焼きたて!!ジャぱん」を冠氏が立ち上げたことは、しいて作者と並べ記さなければなら
ないことだったのでしょうか?
それと、
>今回の一件に何の関係もない編集さんが実名で攻撃されているのはやはり見過ごせません
と、今回、ブログにて証言をされる主旨について、このように主張をされていますが、
>しかし私は98〜99年のネット上の自分の日記でサンデーの編集さんを悪し様に罵っていた
>作家(現在廃業)、この人がアシスタントに恒常的に殴る蹴るの暴力を振るっていたのを
>知っています。
> 一方的に作家の味方をするつもりにはなれません。
> ちなみにこの編集さんとも顔見知りです。
今回の件に関係のないと思われるこの方を話題に出されたのは、どういった経緯だったので
しょうか?
この作家さんはおそらく2ちゃんねる上で話題になった、元サンデー作家さんで、匿名であ
っても、相当数の人に本人が特定されてしまうのではないかと思います。
そもそも、なぜ雷句さんの原稿紛失には何の関係もないこの方についてあげられたのでしょ
うか?
それと、これは今回の記事と直接関係のある質問ではないのですが、この漫画家さんと担当
編集さんの関係については、一時期2ちゃんねる上でも話題になり噂ばかりが先行して、ち
ょっとした騒動となりました。
もし当時の事情について知っておられましたら、書ける範囲で教えていただけないでしょう
か?
ぶしつけかと思いましたが、現場の方に疑問を問いかけられる機会というのもなかなか無い
ことと思い、思い切って質問させていただきました。
長文かつ乱文にて失礼いたします。
「(担当編集者のせいで)」と勝手に付け足すのはちょっとアンフェアなんじゃないですかね。
また、「この通り描いとけ」と言って毎週ストーリーをファックスするなら、
つまんない漫画を作った責任は編集者にも多分にあるんじゃないかと思います。
打ち合わせもしないというのはそのFAXには相当細かく指示が書かれていたんではないでしょうか?
その場合一種の原作者になるわけで作画担当だけ責めるのはちょっと可哀相だと思います。
冠さんは口癖が「死ね!」だったり、他社の編集者に「人を見下すことにかけても天才的」と評判が伝わるほど、
凄い方みたいですがそういう言動も実績を上げれなければただの困った人なんじゃないでしょうか。
新人漫画家に思い通りに漫画を描かせて反発すると「死ね!」と罵るなら最低限結果くらいは出さないとダメだと思います。
プロとして。
偉そうなこと言っておいて持ってくるストーリーが糞だったら誰も言うこと聞いてくれないのは仕方ないでしょう。
芸人のホンコンさんが言っていましたが「つまらん先輩にダメ出しされても若手は聞かん」。
これに尽きると思います。
東遊記で揉めたの最大の問題は冠さんの送ってくるストーリーが糞だったからじゃないでしょうか。
担当編集者とちゃんと相談しながら考えて行ったストーリで打ち切られたのなら納得が行くでしょうが
言われた通りに描いたら人気が出なくて反発したら罵られて
そのまま人気が盛り返す事も無く打ち切られたら、恨み言の一つも言いたくなるのは普通の感情かと思います。
なるほど、それではその某先生は担当の方に「没」と言われても「もう間にあわないからこのネームで行かしてくれ」と言って、作画に取り掛かる事は可能だったのでしょうか?
それと、担当ならば自分の担当の作家が原稿を完成させるまでに大胆どれ位日数がかかるのか把握してるものではないのですか?
長過ぎます(笑)
ですから最初の質問だけ。
ジャぱんは冠さんと橋口さんが組んで立ち上げた企画です。
その事実を述べてるだけです。
いろいろと深読みをし過ぎです。
りとるぽーちさんへ
あとで悔やむくらいなら最初からやるべきではありません。
「理不尽」というのはもしそうだとして締切りが迫った状況で全没、全没、全没というのはちょっとキツイよな、って事もその一つです。
ちなみに僕もまずはじめに「雷句先生が絶対に正しい」ありき、みたいな考え方はどうかと思いますよ。
まず、日記の内容を少し疑ってみて下さい。
人は自分のダメージは小さく、他人のは大きくなるように書くものです。
藤栄新着着てるけど・・・
なんつーか、一件正論ぽいようでまた勝手なこと言ってんな
>しかし私は98〜99年のネット上の自分の日記でサンデーの編集さんを悪し様に罵っていた作家(現在廃業)、この人がアシスタントに恒常的に殴る蹴るの暴力を振るっていたのを知っています。
これはその場で見てきたのか?それとも伝聞?
これが事実だったとして、担当はどんな人物だったのか?
ヤクザが二人いたらその片方だけあげつらってつるし上げていいのか?
>プロの立場から意見させてもらえば、「若手漫画家さん」の連載が不本意な形で終了したのは100%本人の責任です。
なのに
成功したジャぱんについては
>橋口さんと冠さんが立ち上げた「焼きたて!!ジャぱん」
なのか?
そりゃ失敗しないよなw
プロジェクトの責任が100%作家のものなら、成功も作家のものでなければおかしいでしょ
どんだけ冠をかばいたいんだか・・・
かいじ=DFg/7g+N0じゃないの?
指摘してる部分が丸っきり一緒。
ストーリーはただのストーリーです。どんな名作だってストーリーだけ読まされて「面白い」と感じることはまずありません。
その「ただのストーリー」を「面白い作品」に仕上げるのが漫画家のお仕事でしょう。
結果として不評だったのなら、単にその漫画家に面白い作品に仕上げる力がなかっただけのこと。
自分にそれだけの力がないならば断るのがプロとしての責任です。仕事を引き受けるのもプロとして引き受けているのですから。
プロとして取れるのは、
1.仕事を引き受け、成功させる。
2.仕事を引き受け、失敗したら責任を負う。
3.仕事を断る。
この3通りの道しかありません。「客に迷惑をかけない」がプロとして最低レベルの責任です。
なので例えば事実だとしたらという意味で書きました。
藤栄先生のご意見(または知っておられる事実)としては、あの日記は大袈裟に書かれていて事実はあそこまで酷くは無い、という事でしょうか。
仕事最中の忙しい中にしつこい書き込みをご迷惑をおかけしました。
お仕事頑張って下さい。
私はサンデー読者なので、酒井先生に関しては
つまらない作品を見せられた読者こそ被害者なのに
被害者ぶって欲しくないなぁ・・・なんて
毒を吐きたくなるほど悪い印象を持ってます。
それに、連載開始後は常に低迷していたでしょうから
ギスギスした修羅場で
罵声も飛び交ってたんじゃないか(^^;と思うので
流れもなしに一部分を切り取られて
あんな形で公開されたら冠さんがかわいそうだとも思います。
ただ、他と比べて見劣りする作家さんを連載させてしまったのは
冠さんのミスでしょうね。
伸びしろがあると判断なさったのだと思いますが
見込み違いがすぎたような気がします。