辺野古移設反対を提案/県議会本会議
県議会(高嶺善伸議長)は十八日午前、六月定例会の最終本会議を開き、野党六会派が提出した普天間飛行場の移設先となる名護市辺野古沿岸域への新基地建設に反対する決議・意見書の採決に向けて審議に入った。野党は「県民は過重な基地負担と固定化につながることから、新基地建設に一貫して反対してきた」などと提案理由を説明。一方、与党は辺野古移設以外の普天間飛行場返還の対案を示すよう求めるなど、激しい論戦を展開している。決議・意見書は同日午後にも採決され、過半数を占める野党の賛成多数で可決される見通しだ。
日米両政府が合意した辺野古へのV字形滑走路案に、県議会が反対を決議すれば初めて。
決議・意見書は、基地の過重負担と固定化、自然環境への懸念を表明。日米両政府や仲井真弘多知事あてに「新基地建設を早急に断念するよう強く要請する」としており、決議されれば、同飛行場の移設をめぐる県側と政府の協議に影響を及ぼすことになる。
採決に先立ち、野党を代表して玉城義和氏(無所属クラブ)が提案理由を説明した。質疑に立った与党側は、中川京貴氏(自民)が「辺野古への移設以外に、普天間返還が実現する具体的かつ現実的な方策はあるか」「対案があるとすれば、日米両政府が合意する可能性、根拠を示せ」などと追及した。佐喜真淳氏(自民)も質疑を予定している。
質疑後の討論では、与党の桑江朝千夫氏(自民)が反対意見を述べ、野党側は照屋大河氏(社民・護憲ネット)、前田政明氏(共産)が辺野古移設断念支持を表明し、採決で賛否を問う。
過去に県議会は、普天間飛行場の移設をめぐり、SACO(日米特別行動委員会)の中間報告を受けた一九九六年七月、「普天間基地の全面返還促進や基地の機能強化につながる県内移設に反対する意見書」を全会一致で可決。九九年十月には、「同飛行場の早期県内移設に関する要請決議」を十八時間に及ぶ徹夜質疑の末、保守系の賛成多数で可決した経緯がある。
最終本会議ではそのほか、六月県議選の争点として与野党逆転の一因にもなった後期高齢者医療制度に関する意見書も採決される。野党提出の「廃止」を求める意見書が、賛成多数で可決される見通しだ。
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拍手とヤジ 議場騒然/座り込み住民続々
与野党逆転の県議会で、野党が提出した「名護市辺野古沿岸域への新基地建設に反対する意見書案」。審議と採決を見届けようと、辺野古で座り込みを続ける住民、環境保護団体メンバーや教育関係者などが詰め掛けた。百五十席の傍聴席はほぼ埋まり、緊張感に包まれた。審議が始まると傍聴席から拍手や歓声も。与党議員が議長に何度も注意を促すなど、議場は騒然とした。
県議会ロビーには、午前九時すぎから傍聴者が続々と集結した。
午前十一時四十分、提案者を代表して玉城義和議員(無所属)が意見書案の提案理由を述べると、「そうだ」「いいぞ」の声と拍手がわき起こった。
一方、質疑に立った中川京貴議員(自民)は、十数項目に及ぶ質問をぶつけた。「県外移設を望めば大田県政の二の舞いになるのでは」「辺野古案を否定して、普天間の早期返還は可能か」などと述べると、傍聴席から「何言ってんだ」「勉強不足だ」などのやじが飛んだ。
与党議員は高嶺善伸議長に「傍聴規則を守らせろ」と応酬。二度の退場警告が出た後、正午を過ぎたところで休会した。
辺野古で座り込みを続ける平和市民連絡会の当山栄事務局長は「県民の選んだ代表が、基地建設反対の意思を示すことの意義は大きい。日米政府の頭越し合意を覆す力を持つものと信じている」と力強く語った。
宜野湾市から辺野古に通って反対運動を続ける山口洋子さんは「県議会決議だけで、基地建設を止められるわけではないと思うが、『民意無視は許さない』という声を上げることの積み重ねが大事」と話した。