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更新日時:2008/07/18  20:16
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【経済コラム】エコノミークラスの貧困者に哀れみを-M・ルイス

7月17日(ブルームバーグ):超リッチ(純資産1億ドル=約105億円= 超)で常に成功しているヘッジファンドマネジャー(運用資産10億ドル強)の 心の内をのぞくまれな機会を皆さんに提供するため、私が時々、ブルームバー グにコラムを空中投下しているのは本当だ。しかし私は人と交わらないように しており、他人が所有する航空機に乗ることは長い間避けてきた。

だから、私のことを外部のコンサルタントと考えてもいい。私は、悪化傾 向をたどる航空機内で悲惨な待遇という経験は持っていない。

私は3万フィート(約9144メートル)の高さから見た眺望をあなたたちに お伝えできる。自家用機の「ガルフストリームG5」の窓から見えるあなた方 の空の旅の未来がどんなふうになっているかを伝えられる。私の座席からは、 3つの大きなトレンドが見えている。そのトレンドとは・・・。

トレンドその1:機内サービスの低下。さらに悪くなるだろう。

ARM傘下のアメリカン航空は荷物を有料としている。US航空では機内 の映画上映がなくなり、コーラ1缶を飲むのに2ドルを支払わなければならな い。多くの航空会社の最高経営責任者(CEO)が、乗客の体重を量り、それ に応じた運賃の導入を検討している。1社がそうしたことを始めれば、全社が それに従うだろう。航空業界の広報担当者の1人はブルーバーグ・ニュースに 対し、「隅から隅まで見直しの対象とならないものはない」と話している。

あなたはまだ、航空会社を利用することで自分がお金持ちでないこと、つ まり貧困者であることを示しながらも、リッチな人物として扱われたいと期待 している。サービス業界のプロなら、貧困者の一群を目の当たりにするほど士 気がくじかれることはないだろう。

客室乗務員

客室乗務員を見てみよう。かつては乗客を楽しませてくれたが、今は乗客 を犯罪者のように扱っている。彼らに聞けば、恐らくすべてテロのせいにする だろう。2001年9月11日の米同時テロ後、乗務員は警官になってしまった。実 際に起きているのは、どれだけ乗客を楽しませようとも、その見返りがそれほ ど多くないと乗務員が気付いたことだ。それならなぜ、一生懸命にサービスす る必要があるのか。

例えば本当にリッチなジャック・ウェルチ氏。大企業ゼネラル・エレクト リック(GE)のCEOを務めたこの人物を乗客の中に見つけたら、客室乗務 員はサービスをやめる前に考え直すかもしれない。だが実際は、マイレージプ ログラムで手にした無料航空券で搭乗しているファーストクラスの乗客と、エ コノミークラスに座っている絶望に打ちひしがれたような乗客を見つめるだけ だろう。だが、乗務員を責めることができるだろうか。

時間

トレンドその2:あなたの時間は、これまで以上に価値のないものとして 扱われる。

あなたは燃料を節約するために旅客機が速度を落として飛行していること に腹を立てるだろうか。ニューヨークからロサンゼルスに向かう途中で、逆風 が弱まるのを待って、搭乗機がデンバーで待機するのはどうだろう。

全米横断に何時間必要か。その答えは、望むだけ何時間でもということだ。 航空会社はあなたたちが貧困者だと分かっている。航空会社は経験から、乗客 は常に時間よりお金の節約を選ぶということを知っている。もし自分の時間が 貴重だと思うなら、そもそも航空会社を使わないだろう。

トレンドその3:事故のリスク。航空会社の旅客機はこれまで以上に事故 に遭遇しやすくなる。

もちろん、意図してあなたを殺してしまっていいなどと考える大手航空会 社は1社もないだろう。だが、機体は老朽化し、安全関連予算は減っていく。 そして、あなたを犠牲する大事故の可能性が高まるのだ。緊急脱出用のパラシ ュートが有料化されるのも時間の問題なのかも。

希望

こうしたトレンドを見ていくと、悲観主義者なら恐らく、貧困者はやがて 旅行をやめなければならないと結論付けるだろう。休暇になれば、リッチな人々 はパリに飛び、最高級レストランで食事を楽しむ。貧困者は自分で別の楽しみ 方を見つける。多分、自宅近くのキャンプ場ででもスナック菓子をほおばるこ とになる。

だが私は悲観主義者でない。米民主党の大統領候補を勝ち取ったバラク・ オバマ氏のように、人々に希望を与える重要性を信じている。その希望とはあ なたのためのもので、本物の金持ちを航空会社に呼び戻すことだ。

リッチな人々のために、旅客機にガルフストリームG5に似せた特別室を 設けたらどうだろうか。

例えばデトロイトに住む貧困者が、ロンドンに行きたいとする。毎晩、イ ンターネットをチェックし、地元の金持ちが旅行を計画していないか探る。フ ォード・モーターのビル・フォード会長があすの朝、ロンドンに行く予定じゃ ないか!あなたは急いでクリックし、フォード会長が乗る便の後方に安い席を 確保する。

まあもちろん、ちょっとした問題はある。カンザス州トピカなど、リッチ な人々がめったに行かない場所には直行便が多くないということだ。トピカ近 くに行こうとしている人は、乗る航空機がすぐ引き返してしまうので不満を募 らせるかもしれない。

だが、こうした問題はその利点と比べると小さなものだ。なにしろ貧困者 でさえ快適なハイスピードの旅ができるのだから。 (マイケル・ルイス)

(マイケル・ルイス氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。 このコラムの内容は、同氏自身の見解です)

原題:Pity the Poor People Who Have to Fly Coach Class: Michael Lewis

更新日時 : 2008/07/17 14:58 JST



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