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【社会】

福祉車両偽装で3人逮捕 販売会社社長ら脱税指南の疑い

2008年7月15日 夕刊

 愛知県長久手町の自動車販売会社による福祉車両を装った脱税事件で、県警交通指導課と愛知署は15日、地方税法違反(自動車税、自動車取得税の脱税)の疑いで、客に脱税をさせていた「ベストライン」社長の犬塚勝則容疑者(44)=同県日進市米野木町=ら同社幹部3人を逮捕した。同社は客に「違法ではなく、安く買える方法だ」と説明していたといい、県警は組織的な脱税が常態化していたとみて調べる。

 ほかに逮捕したのは、名古屋長久手IC店店長の本田友和(31)=同県高浜市碧海町、三河西尾店店長の金子享(30)=同県安城市三河安城本町=の両容疑者。

 調べでは、犬塚、本田両容疑者は共謀し、○7年9月ごろ、名古屋長久手IC店を訪れた同県小牧市の男性会社員(31)が乗用車を購入した際、身体障害者を乗せる予定もないのに「車いす移動車」として登録し、県に税金の減免を申請して自動車税と自動車取得税計14万1600円を脱税させた疑い。犬塚、金子両容疑者は同年9月ごろ、西尾店を訪れた同県西尾市の男性会社員(30)に同じ手口で計15万5800円を脱税させた疑い。3人とも否認している。

 県警は、15日朝から両店を家宅捜索して関係書類やパソコンを押収。同社が同じ手口で車を全国的に販売していたとみて全容解明を進める。

 県警は、同社の顧客も同法違反と道路運送車両法違反の疑いで近く書類送検する。

 同社の販売担当者は客に「福祉車両登録した車なので、税金を安くして卸すことができる」などと説明。客が「車いすを使う障害者やお年寄りはいないが」と尋ねると、「いずれ家族に車いすを使う人が出てくるかもしれないので大丈夫。違法ではなく、大勢がこの方法で買っている」などと答えていたという。

 同社はこの手口により新車の販売台数を増やしたり、1台あたり十数万円の工賃を取るなどして利益を上げていたとみられる。

 【福祉車両】 高齢者や障害者に配慮した車両全般を指す。道路運送車両法は、車いすに座ったまま乗降でき、スロープや固定装置のついた「車いす移動車」や「入浴車」などの構造を規定。自動車税などが減額される特種用途自動車(8ナンバー車)として登録できる。8ナンバーを取得し、実際に車いす利用者の移動に使われる車両は、都道府県に申請すれば、自動車税と自動車取得税が全額減免され、消費税も非課税に。今回の事件では「車いす移動車」の減免申請が悪用された。

 

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