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【竹島問題】領有の明記見送り「理由は特にない」 福田首相
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福田康夫首相は14日夕、都内で記者団に対し「我が国の領土問題に、しっかりとした考え方を持たないといけないのは当然だ」と強調した。しかし、拉致や核問題を抱える対北朝鮮政策の上で、対韓関係をこじらせたくないという「配慮」もあり、結果として竹島に対して「日本固有の領土」という領有権をめぐる記述を見送る判断をした。
首相は、竹島に関する記述を新学習指導要領の解説書に初めて盛り込んだことは「成果だと思っているようだ」(文相経験者)という。9日の日韓首脳会談でも、「深刻な憂慮」を示す李明博大統領に日本の立場を伝え、理解を求めた。
しかし、領有権明記を求める文部科学省に対し、外務省はホームページ上に「韓国による竹島の占拠は、国際法上何ら根拠がないまま行われている不法な占拠」と明示しているにもかかわらず、北朝鮮問題への影響を懸念し「主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)開催前から高村正彦外相らが文科省サイドに穏便な対応を求めてきた」(文相経験者)という。
両省が対立する中、首相は、文相と外相の両方を経験した町村信孝官房長官に「手柄」を与える形で調整を委ねた。結果は町村氏が14日午後の記者会見で公表。領有権の明記見送りの理由を(1)日韓関係頓挫への懸念(2)6カ国協議や日本人拉致問題解決への悪影響(3)韓国の政治状況−と指摘し、韓国側に「冷静な対応を期待したい」と述べた。一方の首相は「理由は特にない。関係部署でいろいろ相談して決めたことだ」とはぐらかした。
せっかくの「成果」も中途半端な対応によって、政府の立場をあいまいにした。同日、首相が韓国側を刺激しないよう「竹島は日本固有の領土」との言葉を一度も口にしなかったことも、首相の指導力をかすませる逆効果になった。