6月28日、都内で「G8サミット直前東京行動」なるワークショップと全体会が開かれた。主催はG8サミット直前東京行動実行委員会(G8を問う連絡会)。掲げられたテーマは「SHUT DOWN! 貧困と環境破壊のG8サミット」である。翌日には新宿で反G8のデモが行われ、内外から500名が参加した。
6月28日 午後7時半ころ。スーザン・ジョージさんの講演の様子(撮影 すべて筆者)
6月28日夜、都内で「G8サミット直前東京行動」なるワークショップと全体会が開かれた。主催はG8サミット直前東京行動実行委員会(G8を問う連絡会)。掲げられたテーマは「SHUT DOWN! 貧困と環境破壊のG8サミット」である。
この日、昼(午前・午後)は、都内各地で「貧困と不安定雇用と社会的排除はもうたくさんだ!反G8東京行動」(G8サミットを問う連絡会貧困労働WG主催)、「非正規の仕事に正当な評価を!」(均等待遇アクション21+CAWネット・ジャパン)、「公共サービスと労働運動の再生」(ATTAC Japan)など、8つのワークショップ(分科会)が開催された。
全体会は400名が参加した。会場は満員だった。
こうした昼の議論を踏まえて、午後6時からその集大成としての全体会が開かれた。この全体会のメインイベントとして、スーザン・ジョージさん(1934年アメリカ生まれ:ATTACフランス所属の社会運動家)の講演が予定されていたが、28日早朝成田に到着したものの、入管で4時間にわたり、足止めされる事態となり、市民社会やNGO関係者、市民メディアネットワークの間から抗議の声があがった。
全体会は、全国各地(神戸環境大臣会合・新潟労働大臣会合)のG8対抗アクションの報告、都内各地のワークショップ(分科会)の報告の後、スーザン・ジョージさんの講演が行なわれた。ちなみに、全体会は400名が参加し、広い会場が溢れて立ち見が出るほどの盛況ぶりだった。
元気に登壇したスーザン・ジョージさんは、債務帳消しやアフリカへの援助の約束を果たさないG8サミットを厳しく批判するとともに、1999年のシアトルWTO闘争以降、オルタナティブの実践が大きな影響力や可能性をもち始めていると次のように語った。
【……G8の会合を皆で集まって笑おう。G8は哀れな人たちだ。政策の観点でもG8は無能力で、考え方も理論も私たちが優位にたっている。
これまで多くのイベントが札幌をはじめ、全国各地で行なわれていると聞いている。若い人も運動に参加しているのは嬉しい。1980年代は若い人たちは反G8の運動に参加しなかった。しかし、今、若い人たちが運動にもどってきている。
私たちはこれまでの運動の成果として、WTOが挫折して2年間進行がストップしたこと、IMFの信用を落とし、世界銀行の面目をつぶしたこと、を挙げることができる。こうした成果の中で、今は新自由主義への批判が大学やメディア関係者の中にも影響力を持つようになってきた。
「G8を問う連絡会」は55の団体が参加していると聞いている。様々な大小の組織が共通の目的で集まっている。つまり、私たちの運動の中にもまた様々な運動があり、発展してきている。私たちは多様なグループの連合だ。そして、そのアイデアや思想がメディアに注目され始めてきている。
一方、G8は違法で不当な存在にもかかわらず、メインストリームメディアをひきつけている。こうした中で、私たちが注意しなければならないのは、“暴力”だ。メディアはその一点に取材を集中し、ほかの出来事を伝えなくなる。
具体的な例をあげると、2003年、フランスのエビアンサミットの際、8万人のデモがあった。その最後尾に子どもたち(若者)がいた。その子たちがガソリンスタンドの窓を壊した。ニューヨークタイムズはそれだけを記事にし、8万人の人たちが4日間もティーチインなどを行なったが、そのことを知らせるのでなく、一握りの人たちの行為を報道し続けた。
日本のメインストリームメディアがどうか知らないが、欧米の主流メディアは新自由主義に抗議する運動をつぶす目的を持っている。だから、“暴力”でメディアに絶好の機会を与えることはしないで欲しい。私たちの力、私たちの歌、私たちの連合を通じて世界に訴えていく。そして、G8をこれで終わりにさせよう。
今回をもって、G8のお墓をたてよう。今日、お祝いに呼ばれたことに感謝する。名誉なことだ】
講演後、スーザン・ジョージさんへの質問、北海道での様々なグループやWGの現状報告が行われた。G8NGOフォーラムの副代表大橋正明氏が札幌での市民サミットの概要を説明、「政策提言をしていきたい」と語った。国際交流インフォセンター&キャンプWG【共同代表:竹村 泰子(札幌YWCA)・花崎 皋平(著述業)・森山 軍治郎(専修大学北海道短期大学)】の担当者は、洞爺湖近辺の2箇所のキャンプ場と札幌でのキャンプ場の説明を、国際民衆連帯DAYSの担当者は、7月4日の札幌でのオープニングセレモニー【7月4日午後4時〜6時:集会、午後6時デモほか】ほか9日までのスケジュール(シンポジウム・集会・デモ)を説明した。前述スーザン・ジョージさんほか海外から多くのゲストが参加する。
この後、29日午後3時から予定されている「6.29」オルタナティブ・サウンドデモ(SHUT DOWN!貧困と環境破壊のG8サミット)の告知が行われ、閉会となった。
6月29日の午後3時過ぎ。新宿。“外国人黒シャツ”隊。後ろを歩いていたが普通の紳士的な行進だった。顔を隠すなどのファッションは自己防衛なのだろう。
内外500名が雨の新宿を一周 6.29 オルタナティブ・サウンドデモ
6月29日、新宿柏木公園に午後2時30分集合、午後3時出発のデモはあいにく雨に見舞われた。どれぐらい人が来るのか、予想がつかなかったが、出かけてみると欧米、アジアからの参加者も含めてかなりの人数が集まっていた。
主催者からの挨拶、スーザン・ジョージさんの飛び入り挨拶、各団体の挨拶の後、2隊に分かれて出発。コースは新宿を約2時間かけて一周するもの。先頭は、海外組(黒シャツ軍団ほか)が中心。音響設備を積んだ軽トラックから重低音の大きな音が響く中、100名ほどが後に続いた。しばらくすると機動隊がかなり列を圧迫してきてデモ隊が端に押し込まれるような場面もあった。また、一部で参加者と機動隊の間でエキサイトしかける場面もあった。
WATCHから監視団が出ており、エキサイトしそうな場面で間に入るなど、活躍が目立った。2隊目は通常のデモ行進。参加者は粛々と歩き続けた。沿道からはG8という文字や看板が珍しいのか、多くの市民が足を止めてデモ行進を見つめた。
デモ参加者の中に、
【G8洞爺湖サミット オルタナティブ】香港のメディア関係者3人が成田で一晩拘束〜強制退去の危機も〜の記事の中に登場した(入管で拘束された)2人の男性を見つけて声をかけた。彼らも精力的にビデオカメラをまわしていた。
午後5時過ぎの総括集会のアピールの中でユニークだったのは、フランスのNO VOX(声なき者)の運動からの代表のそれ。【「日本の警察はほんの数センチ隊列がはみでてもダメだ」と言うのに驚いた。日本ではデモの権利すら奪われているのではないか。そのことは表現の自由が奪われていることと同じだ。デモではあと1m私たちの空間を獲得しようではないか」とのアピールに大きな拍手と笑いがおこった。
それにしても、雨は残念だった。
新宿柏木公園。デモのスタート前の様子。
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デモ行進の会場で連帯のアピールをするスーザン・ジョージ氏。
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機動隊はこんなふうにデモ隊を圧迫。これに抗議する声があちこちからあがった。
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これがデモの最先頭。トラック内に音響設備。大きな音が出ている。
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デモ終了後の新宿柏木公園に登場したG8首脳のイラスト。
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