胆振西部でキャンプをする「反G8サミット北海道(アイヌモシリ)連絡会」(事務局・札幌市)と「G8サミットを問う連絡会」(同東京都)のデモ行進が7日、壮瞥町と豊浦町で行われた。壮瞥町には約150人、豊浦には約50人が参加し、サミットの反対や格差是正などを各国の首脳に訴えた。大きな声でシュプレヒコールを上げたデモを追った。 (鞠子理人、小林正律)
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◆―――ゴール前で警官と衝突
壮瞥町のデモには、「アイヌモシリ連絡会」と同町でキャンプする「問う連絡会」の約150人がスタート地点の「下久保内」バス停留所付近に集合。「これから何が起きるのか」―と、住民が不安な表情で見つめる中、午前11時、3列縦隊で出発した。
「貧困や差別を拡大させるG8を許さない」などと、シュプレヒコールと一緒に拳を突き上げる。「サミットなしでもえ〜じゃないか」と歌声も聞こえた。2キロほど歩くと果樹園が広り、サクランボなどを収穫している農家が沿道に集まる光景が見られた。
道の駅「そうべつ情報館i」では、トマトやイチゴ、キュウリなどの地場産に舌鼓。煙を上げる昭和新山が現れると「われわれと一緒に怒っている」とさらに士気を高めた。ゴールの「とうや湖観光果樹園」前では、複数の参加者がスクラムを組み「ジグザグデモ」で警察官に体当たりする場面も見られた。
アイヌモシリ連絡会事務局の宮沢直人さん(52)は「沿道の町民が手を振ってくれ感動した。明日からのエネルギーになった」と1日目を振り返った。(壮瞥)
◆―――外国人の無許可行進も
G8を問う連絡会が拠点とする豊浦町森林公園。同キャンプ場は唯一、メディアに公開されていない。
移民や失業者を支援するNOVOX(声なき者)の男性(56)は「取材を受けるとPRにはなるが、小さな声も大切だ」と話した。悪天候の中、デモは午前8時すぎに始まった。雨天などを理由に、当初の20キロコースから大岸駅までの8キロコースに変更された。
礼文華自治会の高井明治会長(64)は「地域に不安はあるが、問題を起こさないとの言葉を信じたい」と語った。200人弱がキャンプ参加するが、デモは小規模だった。外国の過激団体宿泊の情報も取りざたされる中、外国人はほとんどいない。
行進の前後を十数台の警察車両が囲み、列には警察官が並んだ。大阪の川嶋澄夫さん(58)は「温暖化を理由に原発を増やすのは許せない」と主張した。「逮捕された仲間を返せ」と過激なコールもあったが、午後2時15分に無事終了した。
キャンプに残った外国人40人が直後「デモがおとなしすぎる」(道警)と、無許可行進へ動き機動隊と対(たい)峙(じ)。機動隊車両20台以上が緊急出動する騒ぎがあった。
デモの調整を行った1人でワーキングプアという高梨洋一さん(29)は「初日で悪天候もあり少人数だったが、都会とは違い直接住民にアピールできた」と話した。(豊浦)
【写真=(上)デモの最中に衝突する反サミット団体と警察官(午後1時10分ごろ、洞爺湖畔)、(下)G8を問う連絡会のデモ行進=7日午前9時50分、豊浦町大岸海岸】
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