「G8サミットを問う連絡会」の中心的なイベントとして札幌の市民運動を引っ張ってきた国際民衆連帯フォーラムも、いよいよ8日の15:00、クロージングセレモニーをもって終結した。
この7月上旬を通し、G8サミットを問う連絡会の中心的なイベントとして札幌の市民運動を引っ張ってきた国際民衆連帯フォーラムも、いよいよ8日の15:00、クロージングセレモニーをもって終結することに。
主催は同連絡会の国際民衆連帯ワーキンググループ、そして開催地は東区民センターの大ホール。参加者は30名ほど。クロージングセレモニーとしては人数はそれほど多くないと判断されたのか、司会の秋本さんも平日の昼間ということで数的には多少残念、と言及せざるを得なかったが、それでも登壇者の発言の内容は反G8の市民運動を締めくくるのにふさわしい熱意と先見性を十分に感じさせるものだった。
まず登壇したのは、今回の一連のイベントでも、既にG8サミットを問う集会や市民サミットなどで発表をしてきたウォルデン・ベローさん。韓国人活動家をはじめとする海外からの参加者に対する相次ぐ入国拒否や拘束、また7月5日ピースウォークでの4名逮捕等に言及し、警察や入国管理など国家権力の過剰な反応を指摘。しかし、これについてベローさんは、権力側がそうせざるを得なかったということは彼等に対し我々市民運動を恐れさせる、ということに成功した、ということでその意味で運動は成功だった、と強調した。そして、これはG8の政策や方向性が世界の大多数の民衆の利益に全く反することに多くの人が気付くことへのはじまりである、と指摘し運動のさらなる発展を促した。
次の登壇者はインドからの参加で、ジュビリー・サウスを代表するスショバン・バーさん。新自由主義に基づくG8の政策は例え危機に対し解決策を提示しているように見えても実は全く逆効果であり、現在の食糧危機や環境破壊はG8諸国の政策の結果であることを強く訴えた。例えば、一連の金融や農業の自由化政策や、市場原理主義を強要する「改革」は、公共サービスや福祉のさらなる民営化や削減につながり、それがさらなる貧困につながる過程があることを指摘した。
続いて、韓国からの参加者2名の発表だ。まずは、現在韓国社会を大きくゆるがしている反米国産牛肉輸入運動のリーダーの一人である、キム・アイファさん。そして、韓国民主労組のシン・ニョンフォさんが続いた。2名とも、韓国の運動が単にBSEの問題にとどまらず、米国をはじめとする多国籍企業の横暴から自らの市民生活を守る、という点でより重要な意味を持っていることを指摘した。そして、新自由主義に対抗することの意義を強調し、日本の運動との連帯を訴えていたのが印象的だった。
そして、最後2名の登壇者となった脱WTO草の根キャンペーンの大野さんとVia Campesina のインドラ・ルビスさんは、それぞれの視点から主に農業問題に言及した。G8の政策が地域に根ざす農業の解体につながり、ひいては貧困の連鎖を引き起こす問題を指摘し、市民の力で食に関する決定権を奪い返そう、と力強く呼び掛けた。
全体として、このクロージングセレモニーは個別の問題に深く立ち入る、というよりはG8の根本的な問題点を再確認し、運動のいっそうの奮起を促す、ということに主眼が置かれていたと感じる。その意味でまさしくクロージングセレモニーにふさわしいものではあったのだが、それと同時にこれで終わりではなく、運動にとってさらなる挑戦が続くことを認識させる2時間だった。
(GPAM 二階堂)
※当記事はG8メディアネットワークの著作権ルールにしたがって転載しています。(編集部)
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