洞爺湖サミットは9日に閉幕した。開催地元の洞爺湖町はサミットが何事もなく無事に終わった安どと喜びのムードに包まれた。期間中を中心に厳重な警備態勢と交通規制が敷かれた主会場ホテル周辺や温泉街。警備関係者、各国政府関係者らで埋まったホテル・旅館と、客でにぎわった飲食店、土産店。笑顔のもてなしを尽くした地元では「世界の洞爺湖をアピールして今後につなげたい」と観光客増に期待を込めた。 (鈴木利勝、鞠子理人、小林正律)
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◆―――厳戒態勢
警察当局はテロ防止に向け厳重な警備態勢、交通規制を敷き、大きなトラブルは発生しなかった。伊達署は主会場周辺住民や出入り業者に対し通行許可証を361台分発行した。本番が近づくにつれ警戒態勢が強化された。都道府県警により対応が違う場合があった。報道機関でさえ通行許可証以外の身分証を求められるケースがあり、制限区域住民には見えない苦労があった。
「反G8サミット北海道(アイヌモシリ)連絡会」(事務局札幌市)と「G8サミットを問う連絡会」(同東京)のデモ行進は7日から3日間、壮瞥町や豊浦町など胆振西部で実施され、国内外から延べ約560人が参加した。横断幕などを手に「G8は貧困や格差拡大、生活や環境の破壊などをもたらす」などと批判した。警察官との小競り合いが一部で見られたが、大きな混乱はなかった。
◆―――経済効果
洞爺湖温泉の各ホテル・旅館は、サミット関係者でほぼ満室。温泉地区の人口(約1300人)を超える入り込み。食事は各施設が得意とする洋食、和食などを提供した。施設によって自前のパン工房開設や英語の専門通訳配置、長期滞在向けに洗濯機、乾燥機を設けた。「笑顔のもてなし」も好感を得た。英国代表団が宿泊した北海ホテルの篠原功社長は「思った以上に喜んでもらった。これからにつなげたい」と今後を展望した。
昼食時に警備関係者らであふれた各飲食店。欧米のヘルシーブームから、すし店主は「久しぶりの忙しさ。外国人に人気だと再認識した」と自信を込めた。各国政府代表団関係者が飲食や土産を買った後、各店にコインやバッジをプレゼントし交流を深めた。コンビニは通常の約2倍を売り上げたというところも。スナックなどは伸び悩んだが、温泉街全体ではサミット経済効果は大きかった。
期間中は曇り空などぱっとしない天候続き。主会場のザ・ウィンザーホテル洞爺はガスに覆われることが多く、頂上から眺望する「美しい洞爺湖」は世界に発信できなかったようだ。
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