大阪市住吉区で04年2月、当時の大阪地裁所長が襲われた強盗致傷事件で、当時14歳だった少年(19)について最高裁第三小法廷(田原睦夫裁判長)は、刑事事件の「無罪」にあたる「不処分」とした大阪家裁の判断を支持する決定をした。11日付。少年の「無罪」が確定した。
この少年については、06年3月にいったん中等少年院送致の家裁決定を受けたあと、07年5月に高裁が決定を取り消して家裁に差し戻した。
同年12月に家裁が今度は「無罪」の判断をすると、高裁が今年3月に取り消して再び家裁に差し戻すという異例の経過をたどっていた。弁護側がこの高裁決定を不服として最高裁に再抗告していた。
第三小法廷は、(1)少年の「自白」の変化は不合理で信用性に疑いがある(2)犯行状況をとらえた現場近くの防犯ビデオの映像からは少年らは特定できない――などとして「非行事実の証明はない」とした差し戻し後の07年12月の家裁決定を支持。「検察側の新証拠を家裁が調べなかったのは違法」とした今年3月の高裁決定については、「家裁の合理的な裁量の範囲で、違法ではない」と取り消した。
この事件をめぐっては、当時13〜29歳の5人が逮捕・補導された。成人2人の無罪が今年5月に確定。当時16歳の元少年も今年2月に家裁で「再審無罪」にあたる保護処分取り消しの決定を受け、検察側が高裁に抗告している。