アメリカ軍の原子力空母配備に反対する集会が、13日、横須賀基地近くの公園で開かれました。集会は、地元の市民らおよそ1万3000人が参加する大規模なものになりましたが、そのわけは、今年5月に空母で火災が起きた際のアメリカ軍の対応の悪さにありました。
炎天下のなか、会場をぎっしりと埋め尽くす人たち。アメリカ軍横須賀基地に隣接した公園では、地元の市民らおよそ1万3000人が参加した原子力空母の配備に反対する集会が開かれました。
13日の集会が1万人を超える大きな規模になったのはなぜか。それは、原子力空母ジョージ・ワシントンが火災を起こした際、アメリカ軍の情報開示に遅れが出たからです。
ジョージ・ワシントンは航海中の今年5月、南米チリ沖の太平洋上で電気系統のケーブルなどを損傷する火災を起こし、現在、アメリカのサンディエゴ基地で修理が行われています。このためアメリカ軍は、8月に予定していた配備を9月以降に延期すると正式に発表しました。
「『絶対に事故はない。安全だ』と言っていたのに、大きな事故を起こした」
「絶対に(空母が)来てほしくない。信頼できない。すごく不安」(横須賀市民)
ジョージ・ワシントンの配備をめぐっては、当初から地元・横須賀市民による強い反対の声がありました。横須賀市はこれまで、アメリカ軍と防災協定を結んで合同訓練を行うなど、災害時にはアメリカ側から迅速な情報提供が行われると説明してきました。
しかし、今回の火災では、アメリカ軍から横須賀市に通報があったのは、発生から1日半以上が経過したあとでした。
「明らかに(防災協定に)違反する。防災協定は紳士協定で、いざというときに肝心なことを知らされないという実態を明らかにしているものに他ならない」(反対する市民グループ代表)
横須賀市側は、「横須賀基地に配備される前である上、発生場所も遠く離れているため、防災協定の対象にはあたらない」としていますが、市民側は、配備後に災害が起きたとしても、十分な情報提供が行われないのではないかという不信感を募らせているのです。
「最初、ボヤですぐ消し止めたみたいなことを言っていたのに、実はちょっと違うらしいとか、後から後から違ったと言ってくるのが、ますます信用できないと思います」
「重大事故になったら(情報提供を)遅らせて、過小評価して発表すると思う。信用していないから、全然」(横須賀市民)
原子力空母の配備の延期を迫られることになった今回の火災。情報開示の遅れが浮き彫りになっただけに、安全性に対する市民の不安は深まるばかりです。(13日17:38)