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反グローバリズム勢力入国 サミット妨害警戒強める
7日に始まる主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)に合わせ、過去のサミットなどで暴動に関与したとみられる反グローバリズム(反グロ)勢力の関係者がすでに日本に入国し、北海道に滞在していることが3日、分かった。警備当局は、日本国内の過激派と連携したり、デモ隊の暴徒化を画策したりする違法行為にかかわる可能性もあるとみて、入国者の人定や人数、国内での動向について情報収集を急いでいる。
サミットをめぐっては、環境問題や自然環境保護を訴える非政府組織(NGO)らが集会などのアピール活動に参加を予定。欧州や米国、アジア各国からもすでに多数が入国、滞在しているが、「反グロであっても、多くは平和的なアピールに参加を予定している団体」(環境保護NGO関係者)という。
しかし、今回、入国が確認された過激反グロ関係者は、入国前からデモなどの街頭活動に紛れ込み、参加者の暴徒化を促し、サミットなどの混乱を目的にしている。このため警備当局は、欧米の治安機関などと情報交換し、慎重に分析を進めているとみられる。
警備当局は、抗議活動が暴徒化する過程には、暴動をあおり立てる「扇動活動家」の関与があると分析。過去のサミットでは、デモ行進や座り込みなどの抗議行動のほかに、「ブラック・ブロック」と呼ばれる黒装束の先鋭化集団が破壊活動の先頭に立っていたことが判明。
今回のサミットに合わせて入国している勢力の中には、欧州地域で過激な活動歴がある人物が含まれ、ブラック・ブロックなどの扇動勢力も数十人単位で紛れ込んでいるとみている。
ブラック・ブロックは、欧州各国でも監視対象となっているが、「デモのピーク時の混乱に乗じて覆面で投石をし、姿をくらますケースが多く、身柄を拘束するのは困難。欧州治安当局が人定を特定している対象者は多くはない」(警察関係者)という。また、「政治的なアピールはテロとは違い、民主国家としては出国停止などの強制措置は取れない」(警察当局幹部)ことから、実態把握は進んでいないとみられる。
また、今回のサミットでは、アジア各国の治安当局が過激な労働組合としてマークしている韓国の「全国民主労働組合総連盟(民主労総)」も来日を予告。民主労総は、米国産牛肉の輸入問題をめぐる韓国でのキャンドルデモや警官隊との衝突などに深く影響しているとされる。
こうした情報を総合して、警備当局は、日本の過激派とも共闘してサミットにも影響を及ぼす可能性もあるとみて警戒を強めている。
反グローバリズム勢力 市場経済原理が世界的に広がることで、貧困層の拡大などさまざまな社会問題が発生するとして、サミットをはじめとする国際会議の開催地で、デモや座り込みといった示威活動を展開してきた。昨年の独・ハイリゲンダムサミットでは、約8万人のデモ隊の一部が警官隊に石を投げたほか、地元商店街を襲うなどし、日本人を含む約1100人を拘束した。