県教委の教員採用試験を巡る贈収賄事件は8日、教員の昇進試験に絡み金券を渡した疑いが持たれている校長と教頭の男女3人が佐伯署に“出頭”する異例の展開になった。3人は午前8時40分ごろ、佐伯市教委の武田隆博教育長と田村准一学校教育課長に伴われ、佐伯署に出向き、事情を説明した。武田教育長らによると、3人は「(容疑が持たれている)自分たちの行動についてきちっと話したい」と申し出たという。
午前10時ごろ、いったん署を出た武田教育長は「(3人は)普段と変わらない様子だが、気持ちとしては沈んでいるようだ」と話した。また、3人に対して「真実(自分たちの行動)を包み隠さず、話してほしい」と話した。武田教育長は午前10時50分ごろ、署に戻り3人から聞き取った内容の概略を説明。午後0時10分すぎに何も言わず、署を後にした。
所用で署を訪れたという40代の女性は、自身が小学校の臨時講師だった84年、他校の男性教諭に「今年は採用試験を受けてみないか」と言われた。断ると「受かる方法はある」と受験を勧められたという。
この話を窓口で署員に伝えたが、「今(事件を)捜査中です」との返事だったという。その当時、女性の同僚2人が合格しており、今回の事件を知った女性は「(不正は)今に始まったことではない」と長年抱いている不信感を口にした。【古田健治、深津誠】
教員採用事件を巡る汚職事件を受け、県教組の森政文執行委員長らが8日、「金まみれ体質が浮き彫りになった」などとする抗議文を県教委に提出した。
抗議文は事件について「教職への夢を求める人への背信行為」と断じ、体質を改めるよう求めている。森委員長たちは「考えてもいなかった事件。現場の教職員の努力を踏みにじる結果になっている」と話した。
対応した小矢文則県教育長は「職員らの相次ぐ逮捕で、信頼を損なった。申し訳ない」と陳謝した。【小畑英介】
毎日新聞 2008年7月9日 地方版