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経済

廃業するグッドウィル社員の平均年収を分析

7月10日9時0分配信 MONEYzine


廃業するグッドウィル社員の平均年収を分析

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■平均年収1750万円の取締役も職場を失うことに

 グッドウィル・グループ傘下の人材サービス会社、グッドウィルは7月末をメドに廃業する。同社社員が逮捕されるなど違法派遣が事件化し、派遣許可の取り消しが確実になったことによる。同グループは、介護報酬の不正請求が悪質として、コムスンを中心とする介護関連事業からの撤退にも追い込まれたばかりだった。

 コムソンやグッドウィル問題が発覚する以前には、08年6月期売上高を7500億円と見込み、株主への説明書では世界大手のアデコ(スイス)やマンパワー(米)をライバル視する姿勢をアピールしていた同グループは、中核子会社2社を失うことで今後は06年に買収したグッドウィル・プレミア(旧クリスタル)を中心に運営することになる。米投資ファンドのサーベラスと米証券大手のモルガン・スタンレーの支援を得て経営再建に取り組むとしているが、株価も含めてその成り行きに注目が集まる。

 ところで、軽作業に特化した請負業を事業目的に1995年にスタート、その後、グッドウィル・ヒュー・マネジメント(旧ヒュー・マネジメント・ジャパン)を吸収合併するなどして、いわゆる日雇い派遣で最大手に登りつめたのがグッドウィルだ。登録スタッフは274万人。売上規模は約1400億円を誇っていた。

 今回の廃業で、平均年収338.7万円(平均年齢29.7歳、平均勤続年数2.4年)の正社員1974人、平均年収1750万円の取締役も職場を失うことになる(グッドウィルの数値はすべて07年6月期決算)。

 ワーキングプア問題に絡んでクローズアップされる派遣者はもとより、人材サービス会社の正社員の収入は、いくらなのだろうか。

【関連写真】廃業するグッドウィル社員の平均年収を分析

 きわめて単純にいえば、人材サービス会社は、派遣先企業から得た収入からある程度の割合を差し引いた金額を派遣者に支払うことで会社を運営する。入りと出の差額で会社は成り立つわけだ。

■1000円の内訳は、派遣者に664円、会社側に336円

 グッドウィルの場合は、登録者274万人のうち毎日2、3万人程度が実際に働き、会社に年間で1384億円の収入をもたらしていたことになる。そのうち、派遣者に支払われる賃金などは「売上原価」として計上され、その額は920億円だった。

 売上に対する売上原価の割合は66.4%――。
 つまり、グッドウィルと派遣先企業が1人1時間当たり1000円の時給で契約していたとしたら、派遣者には664円が支払われ、会社側には336円残ったという計算になるわけだ。

 売上原価には派遣者の交通費や福利厚生費なども含まれることが多く、派遣者の実際の取り分はこの売上原価の比率よりは低くなる。

 グッドウィルでは「データ装備費」という名目で差し引いていたことが問題になったが、派遣者に実際に支払われる賃金に相当するのは「労務費」。グッドウィルの場合は845億円で、売上高に対する割合でいえば、売上原価からさらに5%低い61.0%だった。

 いずれにしても、売上原価が低ければ低いほど、逆にいえば売上総利益(粗利)が高ければ高いほど、派遣先から支払われるそれと派遣者に実際に手渡される金額に格差があるということ。会社の取り分が多いというわけだ。

■グッドウィル・グループの取締役平均年収は2900万円

 一方で、人材サービス会社の正社員や役員に対する給与などは、粗利を原資とする「販売費及び一般管理費(販管費)」から支給されることになる。

 グッドウィルが計上していたのは「給与諸手当159億円」「退職給付引当金繰入額2127万円」「法定福利費15億円」など総額175億円。取締役報酬は6人に総額で1億500万円(その他監査役1人に2000万円)。その結果が、従業員338万円、取締役1750万円の平均年収だったのだ。

 ちなみに、グッドウィルの親会社であるグッドウィル・グループはさすがに子会社より高給で、従業員平均年収が502.8万円、取締役平均年収は2900万円。日雇い派遣者は、グッドウィルを通して親会社にも貢献していた構図である。

 では派遣業者の他社の事情はどうだろうか。次に見ていこう。

■派遣業者の他社事情

 軽作業への日雇い派遣を中心とするグッドウィルとは異なり製造業派遣や請負が中心の日本マニュファクチャリングや、フリーワーク、アウトソーシングの3社が、従業員と派遣社員それぞれの平均年収はどうなっているのか。

 3社の売上高に占める労務費の割合は、73%から79%と、派遣者への還元率はグッドウィルの61%に比べて高率。それでも、日本マニュファクチャリングは、一般社員489万円に対して現場社員平均270万円。フリーワークは、社員372万円対現場作業者253万円。アウトソーシングは、営業や事務職など内勤が393万円、外勤が276万円となっている。

 使用している呼称はそれぞれ異なるほか、アウトソーシングの場合は、社員と派遣者を混在して平均をとっているようだが、おおむね「社員」と「派遣者」の年収格差と見ていいだろう。

 なお、厚生労働省の発表によれば、全国の派遣労働者は321万人。時給換算で一般労働者の派遣料金は1947円、それに対して平均賃金は1371円だった。差額は576円。人材サービス会社が派遣先企業から受け取る金額から29.5%を差し引いて支払っている計算になる(06年度数値)。

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(ビジネスリサーチ・ジャパン)

最終更新:7月10日9時0分

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