「必要な道路は何としても造る」「次は4車線化だ」。東海北陸自動車道の全線開通式典で、東海・北陸選出の政治家が景気よく力説していた5日、石川県最大のゼネコン(総合建設会社)の真柄建設が経営破綻(はたん)した。バブル崩壊以降、富山県最大の佐藤工業と岐阜県最大の大日本土木も02年に破綻した。
破綻と言っても、会社が清算されたわけでなく、既に再生手続きが終わった会社もある。破綻の直接的な原因が、ゴルフ場投資の失敗や乱脈経営だった例もある。しかし、東海・北陸のゼネコン総崩れの底流は、人口減を背景にした建設需要の伸び悩みや近年の公共事業減少だ。
国全体では、社会保障費を確保するために、消費税増税や思い切った支出削減が議論される時代。それだけに「財源は?」「他の事業と比べた優先順位はどのくらいか?」……。政治家は夢や熱意を語るだけでなく、苦しいことも説明する責任があると思うのだが。【松田真】
毎日新聞 2008年7月8日 地方版