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初出場 ぐっと成長 藍野・宮北颯馬主将2008年07月07日
カキーン。渋谷の9番打者がバットを振り抜いた。 《やべ、飛んできた》。藍野の主将でセンター、宮北颯馬(そうま)(2年)の足が一瞬、止まった。 正直、ボールが怖かった。練習で胸に受けた死球が頭をよぎった。そんなに痛くはなかったけど、当たりどころが悪かったら心臓が止まるかもと思うと、足がすくんだ。 2回無死走者なし。目の前でワンバウンドしてくれることを祈ったが、ボールは意外にぐんぐん伸びる。《あれ?》 跳び上がったけど届かない。ボールが転々とする間に打者は一気にホームイン。恥ずかしくてスタンドを見られなかった。 藍野は初出場。衛生看護科のみの、女子が圧倒的に多い学校で、男子11人が今春、野球部をつくった。今月初めの壮行会で、宮北は「応援よろしく」と呼びかけた。一塁側スタンドには300人を超える応援団が手作りのうちわやポンポンを手に陣取った。 宮北は中学時代、ラグビー部。野球は今年になって始めたばかりだ。素人は素人なりに、気持ちで負けたらアカンやないか。ランニングホームランの後は開き直った。 2回1死後、またフライが飛んできた。《これ捕れなきゃキャプテン、クビだ》。懸命に左手のグラブを伸ばす。今度は捕った! スタンドから「やるじゃーん」と黄色い声が上がった。 宮北だけじゃない。卓球部出身のレフト松田大志(ひろし)(2年)も、吹奏楽部出身のセカンド原本亮(1年)も、何度かミスした後、フライやゴロに跳びついて捕っていた。監督の中間茂治(なかましげはる)(37)は言った。「試合の中でよく成長してくれた。これからが楽しみだ」 春先に野球部とソフトボールの試合をして17―2で完勝し、「男子はショボかった」と話していたソフト部の主将、豊田幸香(ゆか)(2年)も、試合後には少し涙ぐんで、こう叫んだ。「よかったよー」=敬称略 ▽1回戦(寝屋川) 藍野 000 000|0 渋谷は1回、3連打などで2点を先制。篠原のランニング本塁打などで加点し、5回に4点を奪って突き放した。藍野は、1、2回に安打で走者を出したが、後続が断たれた。 マイタウン大阪
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