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子どもの終末期医療、指針づくり 治療中止・抑制巡り

2008年7月6日13時36分

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 子どもの終末期医療について、日本小児科学会が治療のガイドラインづくりを始める。小児の場合、本人の意思確認が難しく、多くは、親の判断に委ねられる。こうした状況で、治療中止や抑制を決めるまでの手続きの透明性を確保しつつ、学会として一定の考えを示す狙いがある。

 学会の理事会は先月、指針作成のため、ワーキンググループをつくることを承認した。医師のほか、法律家、患者代表などもメンバーに、10人程度で検討していく。人工呼吸器の取り外しや薬の投与を抑えていくうえで、医療者側と親との間でどのような手順を踏んでいくべきかが議論の中心となりそうだ。

 医療の進歩で救命の可能性が高まった一方で、重い後遺症で回復が見込めないまま、集中治療室を出られない小児もいる。こうした子どもに治療を続けることに、「必ずしも本人や家族のためになっていないのではないか」との指摘があった。

 過剰な延命治療を見直す動きも医療現場にある。国立成育医療センター(東京都)は4月、02年3月〜07年5月、間もなく心肺停止が予測された小児80人について、家族の同意を得て人工呼吸器を外したり、積極的な治療を差し控えたりしたことを公表。淀川キリスト教病院(大阪府)は、独自に赤ちゃんの終末期医療指針をつくり、重い脳内出血などを起こした超低体重児ら8人に、家族の同意のもと、治療を中止したことを明らかにしている。

 ただ、子どもは成人よりも回復力があるとされ、治療中止の判断は難しい。親の虐待が疑われるケースなどでは、親に代理決定させていいのか問題視する専門家もいる。また、決断する親や、きょうだいの精神的なケアのあり方も併せて整備すべきだとの意見もある。指針の取りまとめ時期は決めておらず、学会幹部は「慎重に審議を尽くしたい」としている。

 厚生労働省研究班の調査では、英国には小児の延命治療の差し控え・中止に関する指針があり、「子ども本人の希望や考えを可能な限り考慮しなければならない」「医療上の義務とは絶対的な延命を要求するものではない」などと定めている。(武田耕太)

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