猛暑限界 プレハブ学習/沖縄工業校舎改築
校舎改築のため、プレハブの仮設校舎で授業をしている那覇市の県立沖縄工業高校(瑞慶山正校長、生徒千六人)で、「熱っぽい」「頭痛」「吐き気」など体調不良を訴える生徒が相次いでいることが三日、分かった。断熱が不十分で室温が最高で四〇度以上になる日もあるといい、熱中症とみられる。一日約二十人の生徒が気分が悪くなり、保健室に駆け込むこともあったという。生徒や教諭らは「我慢の限界」としてクーラーの設置など早期の対策を求めているが、県教育庁は「限られた予算の中で難しい」としている。(嘉数よしの)
同校は五月から改築工事が始まり、一学級を除く二十六学級の教室はプレハブ。くぼ地の運動場に設置され、五月時点で室温は二七―四二度に。六月以降は常時三〇度以上、猛暑の日の窓側は四三度になったという。
瑞慶山校長が着工前から猛暑を想定して、対策を求めたため、同庁は六月に屋根にスプリンクラーを設置。窓側にも遮光ネットを取り付けるなどしたが、抜本的な暑さ対策にはほど遠く、体調不良の生徒は後を絶たない。
三日には、氷のうを求めて五十人以上の生徒が保健室に駆け込んだため、対応できなかった。弁当が腐るなどの苦情もあり、クーラーのある職員室などで預かっているという。
過酷な状況に生徒たちは、「我慢できない」と六月にクーラー設置を求める署名活動を展開。生徒会の呼び掛けで、八百四十三人が署名した。
同校の訴えで深刻な事態を知った県教育庁施設課は、「想定外だった」と対応が後手に回ったことを認めた。ただ、クーラー設置について前原昌直課長は「一千万円以上の費用が必要。予算は校舎改築へ優先的に回すため、難しい」と説明。不調を訴える生徒が相次いでいるため「当初予算内で何ができるか検討したい」と話した。
瑞慶山校長は「生徒に申し訳ない気持ちでいっぱい。勉強に集中できないし、日々の生活にも影響している。何かあってからでは遅いので、県には早急に対応策を検討してもらいたい」と要望。男性教諭は「暑い中でも生徒たちは、『授業は受ける』と必死に頑張っている。夏休み明けの九月以降も猛暑が続くので、何とかしてほしい」と語った。
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23校で改築遅れ
改正建築基準法の施行に伴う建築確認厳格化の影響で、二〇〇七年度中に学校施設整備事業の着手に遅れが生じ、〇八年度に繰り越した学校が、小中高校で二十三校に上ることが三日、県教育庁の調べで分かった。
県議会六月定例会の代表質問で、仲村守和県教育長が、新垣良俊氏(自民党)に答えた。
小中学校で十三市町村の十六校。高校は、沖縄工業、久米島、宜野座、知念、具志川商業、中部商業と美里の七校。仲村教育長は「一部で未着工の小中学校がある。その他では余裕教室や仮設校舎などで授業している」と説明。その上で、「県立高校は土建部と連携し、できるだけ早期に工事完了ができるよう進捗管理している」と述べた。
小中学校については「市町村教育委員会と連携し、影響が少なくなるよう努めている」と説明した。