【上海=西村大輔】中国貴州省甕安(おうあん)県で少女(16)が死亡した事件の処理をめぐって起きた数万人規模の騒乱で、同省公安庁が1日夜に緊急会見を開き、事件の「全容」を公表した。遺族らが疑った強姦(ごうかん)殺人説を全面的に否定し、強姦の事実はなく自殺だったとの見解を示した。捜査中の事件について当局が詳細を公表するのは異例で、騒乱の沈静化に躍起だ。
公安庁の説明によると、6月22日未明、少女は交際相手の男性と、友人の男女2人の計4人で散歩した際に「川に飛び込んで死ななかったら、しっかりと生きていく」などと叫んで橋から飛び降りようとした。友人が引き留めたが、少女はすきを見て飛び降りた。検視の結果、死因は水死で性行為の痕跡はなかったとした。地元で広まる「現場にいた3人の親類に県党委書記や公安幹部がいる」との情報について「3人の家庭は農家で書記らといかなる親類関係もない」とした。
また騒乱の経過について、28日午後、遺族の親類ら300人が警察署に向けて抗議デモを始め、多数の住民も加わったという。一部の「不法分子」が激高し、れんがなどで警官に攻撃し、警察署に押し入って室内を破壊、捜査車両に放火した。県党委や県政府の庁舎でも破壊行為が行われた。また騒乱で警官ら約150人が負傷、約50人を拘束したことも明らかにした。
ただ、ネット上の掲示板などでは2日も「当局の説明は信用できない」などとする書き込みが多数を占めている。