政府は1日、改正教育基本法に基づく教育振興基本計画を閣議決定した。教育に関する初の基本計画で、「教育立国」を宣言し、「公教育の質を高め、信頼を確立する」など今後10年を通じて教育が目指すべき姿を提示。5年間で「世界最高水準の卓越した教育研究拠点の形成」「いじめ、不登校、自殺などへの対応の推進」など77の施策に取り組む方針を示した。
計画は冒頭で「子どもの学ぶ意欲や学力・体力の低下」「少子化の進行」などを課題として明示した。10年間で世界トップの学力水準を目指し、教育内容、教育条件の質の向上を図るとした。
また5年間で取り組む施策として▽子どもの体力を85年ごろの水準に回復することを目指す▽各大学で教育内容・方法の改善を進め、厳格な成績評価システムの導入を目指す--などを挙げた。
文部科学省は当初、「教育予算をGDP(国内総生産)比5%超にする」「教職員定数を約2万5000人増員する」との数値目標記載を目指したが、財務省などの抵抗で実現しなかった。教育予算は「諸外国における状況を参考の一つとしつつ、確保していくことが必要」、教職員数は「定数の在り方などの条件整備について検討する」との表現に後退した。また、「私学助成を充実する」などの記載も目指したが、「私学助成その他の支援を行う」との記載にとどまった。
渡海紀三朗文科相は閣議後の会見で「財政再建という国家的課題の中で長期計画を作るのがいかに難しいか改めて感じた」と語った。【加藤隆寛】
毎日新聞 2008年7月1日 東京夕刊