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メモリー紛失:職場に放置後、別の陸自隊員が盗み捨てる

 日米共同演習のデータを保存したUSBメモリー(記憶媒体)の紛失問題で、陸上自衛隊中部方面総監部(兵庫県伊丹市)調査部の1曹が職場に放置したメモリーを、同じ調査部の1尉が盗んで捨てていたことが分かった。同時に現金2000円や航空会社の株主優待券(1万円相当)が盗まれたが、中部方面総監部は昨年5月、メモリー窃盗の事実だけを隠して発表していた。情報操作とも言える隠ぺい工作が浮かんだ。

 中部方面総監部は昨年5月24日、同僚の机の中から現金2000円と航空会社の株主優待券を盗んだとして、1尉(当時33歳)を停職60日の懲戒処分にしたと発表した。この際▽制服のまま行方不明になり2日間無断欠勤した▽辞職願を提出した(受理され後に依願退職)▽窃盗容疑で神戸地検伊丹支部に書類送検したが起訴猶予処分になった--ことなども公表したが、メモリー盗難は伏せた。

 日米共同方面隊指揮所演習(昨年2月8日~16日)の部隊配置図などが保存されているメモリーは昨年2月、調査部2佐(当時)が借りだし、1曹に使用させていた。1曹が作業を終え同14日机上に放置して帰宅した後、紛失した。中部方面総監部も当初は紛失事案として扱い、昨年3月23日、2佐を戒告、1曹を訓戒処分にした。

 ところが、昨年4月、行方不明になっていた1尉が、兵庫県宝塚市のホテルで薬を飲んで自殺を図っているのが見つかり、救命後、中部方面総監部の調べに「メモリーを盗み廃棄した」と認めた。このため警務隊が昨年4月14日、1尉を窃盗容疑で逮捕した。

 石破茂防衛相は1日の閣議後会見で、メモリー紛失の非公表について「第三者が検索して情報漏えいの範囲が拡大する恐れがあるため」と正当性を強調した。一方で大臣直轄の監察組織「防衛監察本部」が調査中であることも明らかにした。【小林直、本多健、樋岡徹也】

毎日新聞 2008年7月1日 15時00分(最終更新 7月1日 15時00分)

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