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核武装の費用は数兆円

2008-03-20 16:27:14 | Weblog
米技術評価局報告書(U.S.congress,Office of Technology Assessment. Proliferation of Weapons of Mass Destruction;ssessing of Risks. OTA-ISC-559, Wash.D.C.,Gov.printing office, Aug.1993)に拠れば、小さな原爆を1個作るのに、最低でも200億円。核武装するには、世界の例が示すとおり、平均200個の原爆を用意する必要有り。その費用は4兆円。ミサイル開発にも数千億円。その後、維持費がかかる。普通に考えれば核武装に総額数兆円かかる。

日本の議論は、過去の米国の文献すら検討しておらず、準備期間・総費用の推定とも、小学生並みの認識。

米国は1940-1996年の核兵器計画に590兆円も投入(Schwartz,S. Atomic Audit;Cost and consequences of Nuclear Weapons Since the 1940s. Wash.D.C.:Brooking Institution, 1998)。

核武装のコスト・ベネフィットは成立するか。
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民生利用と軍事利用における軽水炉の差異

2008-03-20 15:15:19 | Weblog
この問題に発電するか否かと答えたら的外れ。本質的な差異は燃料の被覆管とウラン濃縮度、それに運用法。

民生利用では、被覆管は、熱中性子吸収がいちばん小さく、なおかつ、入手可能・安価・安定性から、ジルコニウム合金のジルカロイ。濃縮度は数パーセントの低濃縮ウラン。システムの熱疲労・亀裂発生との関係で毎時55℃以下の昇温幅。

一方、原子力潜水艦・原子力空母のような軍事利用では、被覆管は、中性子経済よりも耐熱応力性等から、熱中性子吸収の比較的大きなステンレススチール。そのため、ウラン濃縮度は兵器級の93パーセント。常に緊急作戦行動との関係で原子炉熱出力の大幅変化(熱変化が大きいために寿命短い)。

原子炉熱出力は、民生利用3300メガワット、軍事利用50-1000メガワット(前者は潜水艦、後者は空母)。

民生利用のエンジニアが潜水艦・空母に乗り合わせたら、乱暴な運転・管理に顔面蒼白になる。軍事利用では軍事作戦優先の何でもありの恐怖の世界。



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中国の政治・経済・科学技術の二重構造

2008-03-17 12:18:01 | Weblog
中国の実力が過大評価されている。経済はいつ破綻するか知れないバブル。技術は欧米依存・模倣、品質管理能力ゼロ。

中国は、2020年までに、4000万キロワットの原子力発電を実現すると豪語。しかし、世界の原子力産業の生産力からすれば、不可能。

なぜか。いま、原子炉11基906.8万キロワット。全電力の2パーセント。計画では、今後、12年間に、4000-906.8≒4000-900=3100万キロワット。これは100万キロワット級原子炉を31基に匹敵。世界の原子炉メーカーの生産能力は年間3基。ということは、世界の原子炉メーカーがフル稼働して、中国だけに供給しても、ギリギリ。

実際には、31基でなく、その半分の15基実現できれば、上出来。
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大蔵省上級職の暗黙のルール

2008-03-16 22:34:26 | Weblog
大蔵省では、毎年、20名の上級職合格者が採用される。別に、成文化されているわけではないが、暗黙のルールとして、毎年繰り返されていることは、採用枠の15名は東大枠。残り5名をいくつかの大学で争うことになるが、一橋大や京大、阪大、東北大あたりが採用され、間違っても、早慶レベルでも採用されない。いまだに省庁では、政治的に確立された、東大を頂点とする旧七帝大体制が堅持されている。硬直化した社会を打破する方法はないのか。
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日本の安全審査は適切か

2008-03-16 14:17:35 | Weblog
日本の安全審査は、薬事行政や原子力行政だけでなく、すべてデタラメ。安全指針の作成からして、申請者側の要望が機械的に反映され、規制側にその内容を評価できる能力がない。

新潟県中越沖地震での柏崎刈羽問題、すなわち、耐震設計における想定地震の二倍から四倍もの地震加速度が観測されたように、指針と安全審査の根拠が崩壊している。その問題は言い訳できる次元の話でない。

疑問は疑問として問題提起せよ! いつまでも沈黙していたら殺される。
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放射線治療のリスク・ベネフィット

2008-03-15 14:56:45 | Weblog
日本原子力学会Vol.50,No.1,p.54(2008)に三菱電機の西村純子のエッセーが掲載されている。程度の低い企業宣伝の部類の話である。自身がガンにかかったら、ぜひ、放射線治療を受けたいと。

西村は、自身がかかわった放射線治療装置の有効性を吹聴しているが、放射線治療は、完治策でなく、延命策に過ぎぬ。助かる確率は極めて少ない。

局所的放射線線量は、もし、全身であるならば、死亡する線量に匹敵する。ガン患部を絶滅するため、患部よりもいくぶん大きな領域を照射する。そのため、ガン患部は治療できても、健全な細胞まで照射によってガン化してしまい、やがて、それが原因で死亡する。

放射線治療は、平均2年程度の延命策であるが、西村は、学会誌を利用して、放射線が安全であるかのような虚偽宣伝をした。三菱電機と西村の無知。

私は光子・中性子・陽子・炭素イオンのいずれかを利用する放射線医療の現場を見学したことがある。いくらピンポイント照射を目指しているとは言え、その照射線量の高さに驚いた。いまの放射線治療のレベルは、完治法でなく、暫定的な延命法に過ぎぬ。

放射線医学総合研究所の炭素イオン照射治療費は、1回の総合的照射治療当たり、約300万円。1日40名から50名の照射を実施。まだ、商業治療の一歩手前の臨床研究段階。患者はしょせん臨床データを蓄積するためのモルモット。西村はそのことをよく知っているくせに。
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プライマリーって何−読者質問への回答−

2008-03-14 21:00:43 | Weblog
2008-03-14 20:37:58に、上野さんからタイトル 「プライマリーって何」で、「原水爆でプライマリーって何ですか」という質問をいただいた。私が主催する研究会の会員の中でこの分野に詳しいひとに聞いた。

「プライマリー」でもかまわないが、「ブースター」の方が良い。平たく言えば、原水爆の火種。広島・長崎の原爆では、理想的ではなかったが、暫定的に、Po210(α,n)Be中性子源が利用された。しかし、半減期が短く(138日)、毒性が高く取り扱いが難しいため、それに代わるものとして、その9年後の1954年から、まったく異なった考え方の中性子源が考案された。それがブースター。

原理は、プルトニウム239の超小型原爆で、超小型核融合物質を1億℃に加熱し、核融合反応で発生する14MeVの瞬間大量の中性子を利用して、周囲のプルトニウム239の大型原爆を爆発させるというもの。その周囲をさらに大量の核融合物質で囲めば、大型水爆。

一番最初の火種は、早産原爆になって1キロトン程度の爆発力でもかまわないため、あえて強度も強くないものでもよく、何でも良い。極端な例が、非常に簡単に、単純に考えれば、プルトニウムに含まれるプルトニウム240の自発核分裂中性子でもかまわない。

このような事実は軍事研究者ならば半世紀前から把握していた。素人は、これまで、マンハッタン計画当時の資料を基に解説していた。当時と今では技術に雲泥の差がある。

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誰も生き残れない原水爆時代

2008-03-13 15:54:47 | Weblog
現代は原水爆時代。実戦配備されている核兵器は水爆。爆発規模は広島や長崎のそれの百万倍にも及ぶ。

月刊誌等の議論では、相変わらず、広島や長崎の爆発・被害例を基に議論している。実はそんなものは参考にもならないはず。ビル内や地下に逃れれば助かると考えているひとたちが哀れでならない。
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政府中央防災会議の東海地震評価は十分保守的か

2008-03-12 13:08:01 | Weblog
昨年10月26日、静岡地裁において、浜岡訴訟の原告敗訴の判決が下された。判決は中央防災会議が定めた東海地震の加速度応答スペクトルが十分に保守的で信用に値すると評価している。

そうであれば、新潟県中越沖地震で震災した東京電力の柏崎刈羽発電所の損傷状況からして、浜岡発電所の震災状況は、十分予測でき、不都合なことは起こらないと推測できる。

それは、浜岡(600gal.)よりも柏崎(450gal.)の方が耐震設計が甘く、観測された加速度応答スペクトルが中央防災会議が定めた東海地震の加速度応答スペクトルを上回っていたからだ。

しかし、中央防災会議が定めた東海地震の加速度応答スペクトルの信頼性が高いとしても、真実であるか否か、発生してみなければ、分からない。
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独政府報告書が真実ならば

2008-03-12 12:44:59 | Weblog
独政府(環境省・放射線防護庁)は原子力発電所周辺の小児白血病発生状況と距離との関係を解明する疫学調査を実施した(http://www.bfs.de/de/bfs/druck/Ufoplan/4334_KIKK.html)。

その結果、小児白血病の発生は、距離に依存することが明らかになった。しかし、原因が放射能の影響によるものか否か、結論づけておらず、今後、継続調査するとしている。

小児白血病の発生と距離と被ばく線量の関係が学術的に明確に立証されれば、すべての原子力発電所の運転は、即刻、中止しなければならないくらい大きな問題だ。

しかし、留意しておかなければならないことは1日当たり原子力発電所の約100倍も放射性物質を放出している英仏日の再処理工場の周辺地域に同様の共通の報告がないことである。特に、東海再処理工場と東海発電所の周辺で何の報告もないのは日本の無知なのか。相互の矛盾は解消しておかねばならぬ。

今後の成り行きが注目される。
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