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橋下知事、淀川ダム計画に慎重姿勢表明

2008年6月28日

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地図   ※写真をクリックすると拡大します 写真近畿地方整備局の幹部と意見交換をする橋下徹知事=27日午後、大阪府庁、南部泰博撮影

 大阪府の橋下徹知事は27日、国土交通省近畿地方整備局の布村明彦局長に会い、淀川水系の河川整備計画案について「府の財政状況を見ると、整備局と優先順位は一致しない」と述べ、4ダム建設に慎重な姿勢を示した。府は巨額の負担金を求められるだけに、橋下知事の姿勢が今後の整備計画の行方に影響する可能性も出てきた。

 この日は布村局長が橋下知事に計画案を説明。同案には大戸川ダム(大津市)など4ダムが盛り込まれた。形状が決まっている3ダムの総事業費は約2740億円。府はこのうち400億円以上を負担する見通しだ。

 これまで計画案への態度を明確に表明してこなかった橋下知事は、大幅な歳出削減を進める府の現状を説明したうえで、「治水は行政の長として必要だと思うが、お金の使い方が整備局と一致する状況ではない」と強調。布村局長は「主張は真摯(しんし)に受け止めて調整する」と語った。

 橋下知事は会合後、「すぐに堤防決壊で多くの命が失われるなら優先順位を上げるが、学校の耐震化ですらできていない状況では優先順位が高いとは言えない。100年に1回の雨を考えて莫大(ばくだい)な金をかけなきゃいけないのか」と報道陣に語り、ダムの緊急性について疑問を呈した。

 一方、整備局河川部の谷本光司部長は、計画案が今後30年間の対策を盛り込んでいることを念頭に「30年間もお金が出せないほど大変なのか。財政再建すれば収入が上がり、一緒にインフラ整備ができる」と述べ、理解を求めていく考えを示した。

 整備局は29日に滋賀県の嘉田由紀子知事、30日に京都府の山田啓二知事に説明する。その後、河川法に基づいて改めて大阪府を含む流域6府県の知事から意見を聴き、最終的な計画を決定するが、知事が反対した場合は計画が凍結される可能性もある。4ダムをめぐっては整備局の諮問機関の淀川水系流域委員会が4月に「不適切」とする意見書を整備局に提出していた。

 この日の橋下知事の慎重姿勢について、淀川水系流域委員会の宮本博司委員長は「流域委は大戸川ダムについて、淀川の洪水を下げる効果を小さくて限定的だと考えた。淀川の水位が低いのにこしたことはないが、他の大阪府の事業と比べて優先順位が低いと判断したのだろう。整備局の説明を聞いた上で、何が何でもダムが必要という結論に至らなかったのだと思う」と話した。(柳谷政人、稲垣大志郎)

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