ワシントン(AP) 15日付の米紙ワシントンポストは、パキスタンの核科学者アブドゥル・カディール・カーン博士が率いる国際密輸組織を通し、小型核兵器の設計図がイランや朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)へ流出していた恐れがあると伝えた。
元国連査察官のデービッド・オルブライト氏がまとめ、今週中に発表される予定の報告書を、同紙が入手した。
それによると、流出したとみられるのは、イランなどで使われる弾道ミサイルに搭載できる高度な小型核弾頭の設計図。06年にスイス人実業家のコンピューターから発見された。データは最近、国際原子力機関(IAEA)の指示で破壊されたが、「これよりずっと前に、世界でも危険な国々へ売り渡されていた可能性がある」という。
カーン博士は04年、リビアやイラン、北朝鮮へ核技術を流し、爆弾部品などを売却していたことを認め、「核の闇市場」の中心人物となっていたことが明らかになった。駐米パキスタン大使館の報道官は、「カーン博士の核拡散疑惑については十分に調べ、IAEAにも報告済み。すでに終わったことだ」との立場を示している。