ログイン
IDでもっと便利に[ 新規取得 ]

ジャンル
サブジャンル

国内

介護保険の国庫負担は「黒字」

6月25日16時50分配信 医療介護CBニュース


介護保険の国庫負担は「黒字」

介護給付費

 財政難を理由に、財務相の諮問機関「財政制度等審議会」が、2009年度予算編成に向けた建議(意見書)で、介護保険制度について「利用者負担や公的保険給付の範囲の見直しなどを含め、さらに検討を深める必要がある」などと求めている。しかし、介護給付費の国庫負担は、2007年度で約900億円、06年度で約1400億円の“余剰金”が出ており、財政が逼迫(ひっぱく)しているわけではない。“余剰金”については、「介護サービスの給付を厳しく抑制している結果」と指摘する関係者が多い。こうした現状で、介護給付費に対する国庫負担を削減する必要があるのだろうか。(山田 利和)

【介護給付費詳細】


 同審議会は6月3日、額賀福志郎財務相に建議を提出。この中で、11年度まで毎年、社会保障費を2200億円抑制することを明記するなど、介護や医療、年金を含めた社会保障の全体を抑制する必要があるという見解を示している。建議は、「経済財政諮問会議」に報告され、6月下旬にも取りまとめられる「骨太の方針2008」に反映される。

 介護保険制度の財源については、費用の9割を保険料(50%)と公費(50%)で賄い、1割が利用者の負担となっている。06年の介護保険法の改正前は、公費の負担割合は、国25%、都道府県12.5%、市町村12.5%だった。

 06年の法改正で、介護給付費は「居宅給付費」と「施設等給付費」の2つの区分に変更された。これに伴い、国の定率負担は、居宅給付費が25%、施設等給付費が20%(いずれも市町村ごとの介護保険財政を調整する「調整交付金」5%を含む)となった。 07年度の介護給付費について見ると、当初予算6兆6691億円から3900億円が減額補正され、補正後の予算は6兆2791億円だった。
 補正で減額された3900億円について、国費に当てはめると、国費に占める居宅給付費のシェアが全体の56%、施設等給付費が同44%だったため、国費の減額分は、次のような計算になる。

 3900億円×(居宅給付費の定率負担)20%×シェア56%=436.8億円
 3900億円×(施設等給付費の定率負担)15%×シェア44%=257.4億円
 これらを合わせると694.2億円。これに、調整交付金の減額分(3900億円×5%=195億円)を合計すると、889.2億円の“余剰金”が出たことになる。
 06年度については、約1437億円の“余剰金”が出ている。

 この“余剰金”については、民主党の山井和則衆院議員が今年の通常国会で取り上げた。山井議員は、深刻になっている介護現場の人材不足を解決するため、「予算で見込んでおきながら、実際には使われなかった費用などを活用すれば、介護職員の賃金引き上げが可能ではないか」などと政府・与党を追及。しかし、07年度の“余剰金”は、「消えた年金」の特別便対策や「後期高齢者医療制度」の自己負担の凍結に使われたことが判明している。

 ある関係者は「国費に“余剰金”が出ているのは、サービスの給付を厳しく抑制しているからだ。歳出が抑えられているといっても、給付抑制の結果なら好ましいことではない」と指摘し、こう強調する。
 「介護への国庫負担は、介護保険制度の導入で50%から25%に引き下げられた経緯がある。こうした影響などで、利用者の負担増やサービスの給付抑制を招き、必要なサービスが受けられない制度になっている。制度は崩壊し始めているといっても過言ではなく、解決のためには、国庫負担を引き上げるべきではないか」




【関連記事】
「介護従事者の処遇改善につながる仕組みを」
介護保険「家族介護」へ逆戻り
社会福祉系大学で志願者離れ
担い手減少「福祉崩壊」危機
高齢社会支える職員に「うつ病」増加

最終更新:6月25日16時50分

  • ソーシャルブックマークへ投稿 0
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • みんトピに投稿
  • はてなブックマークに追加
  • newsingに投稿
  • Buzzurlにブックマーク
  • livedoorクリップに投稿
  • Choixにブックマーク
  • イザ!ブックマーク
ソーシャルブックマークとは

関連トピックス

主なニュースサイトで 経済財政諮問会議 の記事を読む
みんなの感想 この話題についてみんながどう感じたかわかります。

みんなの感想(話題ランキング)

この記事を読んでいる人はこんな記事も読んでいます

日付を選択:



提供RSS