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支援者らの会合で、近畿地方整備局を「見切り発車」と批判する淀川水系流域委員会の宮本博司委員長(右から2人目)ら=大阪市中央区・ドーンセンター |
四ダムの強行を国土交通省近畿地方整備局が打ち出した20日、諮問機関・淀川水系流域委員会からは「住民意見の反映を定めた河川法違反の暴挙だ」と反発の声が上がった。ダムの行方の判断を委ねられることとなった京都、滋賀の府県知事からも「両者のいさかいのツケが回ってきた」と批判の声が相次いだ。一方、建設を求めていた地元住民には安堵(あんど)が広がった。
京都府の山田啓二知事は会見で「不信感が全然払しょくされなかった。これ以上怒っても仕方ないが、議論に23億円もかけ、府県にツケを回したことに整備局も委員会も責任を感じてもらいたい」と不満をあらわにした。そのうえで京都、滋賀、大阪の3府県知事で、来週にも今後の対応を協議する方針を明らかにした。
滋賀県の嘉田由紀子知事は、かつて流域委員会メンバーだった。「整備局と流域委員会の関係が正常化されず、こちらに回答がないまま整備計画案が提示されたことは大変遺憾で残念。効果が薄いとされるダムを現時点で計画に入れることは大きな疑問」と不快感を示した。
大阪府の橋下徹知事は「ダムの費用負担などの内容を十分に理解した上で、流域全体を考慮しながら判断したい」とコメントした。
整備局は大戸川ダム、川上ダム(三重県)、天ケ瀬ダム再開発(宇治市)の3ダムの事業費を、当初の4割増の2750億円と見込む。うち治水目的の場合は、河川法で事業費の3割を各府県が分担することになる。
整備局の試算では、ダムの治水効果を受ける度合いで決まる府県の負担は、大戸川ダムの場合が京都府60億円、大阪府80億円、滋賀県4億円となり、天ケ瀬ダムの再開発では京都府60億円、大阪府40億円になる見込みだ。
各府県知事は上流、中流、下流で相反する利害を超えて、流域全体の河川整備を総合的に判断しなければならない難しい局面を迎える。府県知事の意見に法的拘束力はないが、同意がなければダム建設は困難とみられる。
厳しい財政状況の中、膨大な費用負担が府県に発生するだけに山田知事は「国は都道府県に権限移譲するとケンカしてしまうというが、3府県でバラバラではなく、しっかり話し合い、住民に分かる形で議論を進めたい」と述べた。
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