国土交通省近畿地方整備局は20日、大戸川(だいどがわ)ダム(大津市)など4ダム建設を盛り込んだ淀川水系の河川整備計画案を公表した。同日、京都や滋賀など流域6府県にも送付、各知事の意見を聞いた上で計画を決定する。諮問機関・淀川水系流域委員会がダム計画の見直しを求める意見を出していたが、「反映できる意見ではなかった」として事実上無視する形となった。
建設するとしたのは、大戸川のほか丹生(にう)(滋賀県余呉町)、天ケ瀬再開発(宇治市)、川上(三重県伊賀市)の各ダム。計画案全体は、昨年8月に公表した原案と大きな変更はなかった。8月末の2009年度政府予算案の概算要求に向けて計画決定を急ぐ。整備局はこの日、淀川委のダム見直し要求について▽大戸川ダムの治水効果が限定的という指摘は、問題の本質を見誤っている▽堤防強化は技術的に課題があり、ダムの代替案にならない−と反論、淀川の治水上、ダムが必要とした。
淀川委は現在審議している最終意見を出すまでは計画案を出さないよう、整備局に求めていた。
谷本光司河川部長は「最終意見がいつ出るか分からず、スケジュールも遅れていた。治水を除けば淀川委の意見の大部分を反映しており、委員会軽視といわれるのは心外だ」と話した。
今後は、ダムの建設費の分担を求められる各府県知事がどのような判断をするかが焦点となる。
【河川整備計画とは】今後20−30年の具体的な河川整備の内容を示すもので、1997年の河川法改正で導入された。策定の流れは、(1)原案の作成(2)学識者(淀川水系流域委員会)や自治体の長、住民の意見聴取(3)計画案の作成(4)府県知事への意見照会(5)計画策定−の手順。今回は(3)にあたり、今後(4)に移る。
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