国交省の淀川水系「河川整備計画案」は20日、同省と諮問機関の淀川水系流域委員会が対立を抱えたまま、事実上の「見切り発車」で公表された。京都を含む4府県は、計画案の是非を巡る議論のげたを預けられた格好になった。
山田啓二知事はこの日の会見で、「まだ(ダムを)造るかどうかも決まっていない」などと計画案の具体的な評価は避けたが、「住民の安心・安全、まちづくり、環境問題、あらゆる観点から、今まで積み上げられた議論をもう一回検証する」との考えを示した。
一方、「ダム推進」の計画案に「歓迎」の意思を表明したのは宇治市。宇治川沿岸に位置し、計画案に盛り込まれた天ケ瀬ダムの再開発などの「治水効果」を直接受けるためだ。
久保田勇市長は同日、「洪水による甚大な被害が懸念される市としては、堤防補強をはじめ、計画案に位置づけられた事業が一日も早く実施されるよう強く望む」「府とも緊密に連携をとって必要な意見は申し上げていく」などとするコメントを発表した。【武井澄人】
毎日新聞 2008年6月21日 地方版